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子猫をお願い

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起きたら人間はリュックサックになにかたくさんの物をつめていた。空腹を訴えると、牛乳と魚肉ソーセージが出てきた。人間は既に朝食を終えたのか、自分が食べている横でひたすら話しかけてくる。

「お前を引き取ってくれる人が見つかったよ。大学の友達のバイト先の人なんだけどさ。さっき会ってきたけど、いい人そうだった。猫好きで他にも三匹飼ってるんだってさ。仲良くしろよ。たまには会いに行くからさ。明日には迎えにきてくれるから、今夜でお別れだな。夕飯なにがいい?」

口数がそう多くない人間にしては今日はよく話す。皿の牛乳は空っぽになってしまったが、まだ話しは終わらなかった。

「明日お前を見送ったらさ、俺も出かけようと思うんだ。ちょうど連休になるし、バイトも何とか休みもらえたし。会いに行ってみるよ。今度は、自分から」

頭を撫でてもらいたくなったので人間を見上げる。昼のやわらかい陽射しで照らされた部屋はすこしまぶしかった。望んでいた手が伸びてきて好きなところを撫でてくれる。

「なんかまだ怖くて、行くって連絡してないんだ。でもいいよな? 会いたいから、会いに行ったって」

外からの空気が部屋をあたためる。お腹はいっぱい。柔らかな手の指の感触が心地よい。気持ちよさのあまりひとつ鳴いてみれば、人間はとても幸せそうに微笑んだ。初めて見る顔だった。
作品名:子猫をお願い 作家名:マチ子