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竜ヶ峰帝人の困惑

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放課後、美香に指導してもらった通りに盗聴器を探してみた帝人だったが、それも発見できなかった。
低い位置にあるコンセントを調べるために脱いでいた上着を片手に掴む。
パンパンと汚れたズボンの裾を叩いていると、西日が教室内に差し込んでいるのに気付く。

「・・・そろそろ帰ろう」

杏里と正臣を先に帰らせたので、1人で歩く帰り道である。
今日も帰る岸谷家、に続く道の途中で、池袋の喧嘩人形に出会った。静雄である。
なぜか腹部の一部が赤黒く染まっていたが、出来る限り見ない、を選択する。
もし突っ込んで裏の事情を知ってしまったらさすがに対処できない。こういう場合の処世術ぐらいは知っている。

「あ、こんにちは静雄さん」
「よぉ。帰りか?」

こっくりと頷く帝人の頭をわしゃわしゃと撫でる。
ちらりと辺りを見回してもドレッドの上司も、金髪の美女も見当たらない。

「お仕事終わりですか?」
「あぁ。あー・・・その、竜ヶ峰。最近どうだ?」
「え?」

ガシガシと自分の頭を掻きながら、言いにくそうに静雄が問いかける。
帝人がこんな質問を受けるのは初めてではない。
むしろ臨也と付き合っていると静雄が知ってからは、会うたびに「大丈夫か」だの「何かあったら言え」だの拳を握りしめながら聞かれたものだ。
だが、今日の静雄はとても言いづらそうに、拳も作ってはいない。
珍しい姿に首を傾げた帝人だったが、

(あぁ、セルティさんから聞いてるのか)

と納得して、「はい、大丈夫ですよ」と答える。
すると、「あ゛ー・・・」と視線を逸らしながら、数秒逡巡すると

「その・・・たまには、あいつ・・・ノミ蟲の家、帰ってやれ」
「はい!?」

ぎょっと目を剥く帝人に、静雄も苦虫を噛んだような表情を浮かべながらも

「いや、まぁなんつーか・・・・悪い」
「あ、いえ・・・考えておきます」

悪い・・ともう一度呟いてから、背を向けた静雄に、帝人は不可解な表情を崩せない。

(静雄さんが、臨也さんのフォロー!?なんで!?)

一抹の不安を抱く帝人だったが、言った静雄の方がダメージを受けているのか、肩を落としながら去っていく姿には何も言えない。
こういう時に何かあったのか確認できるダラーズの掲示板をすぐさま携帯で確認するものの、静雄に関する情報は上がっていなかった。
が、微妙なものはあった。

「情報屋、折原臨也の奇行・・・」

新しいトピックを見てみれば、恋人の男が笑いながら電柱に頭をぶつけていた、という切なくなる情報が書き込まれていた。

(あぁ、僕泣きそう)

そっと携帯をしまうと、先程の静雄並みに肩を落として帝人も岸谷家への家路を急いだ。

作品名:竜ヶ峰帝人の困惑 作家名:ジグ