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葎@ついったー
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novelistID. 838
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die vier Jahreszeite 004

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よく,ケーキ屋で見るような……というより,そのものずばりの形。

「え」
「メリー・クリスマス。そう云っただろ?」

箱の向こうで口の端を引き上げて笑うフランシスの顔を,俺はぽかんとした顔で見つめた。

「あー,ひとりだけ抜け駆けすんなやフランシス。俺かてちゃんと用意してあんねんで?」

云うなり今度はふわりとやわらかいものが首に巻かれる。
ぽかん,とした顔のままアントーニョを見つめ,首に巻かれたものに触れる。
マフラーだった。

「メリー・クリスマスな。ギル?」

いや,だから,なんで?
俺は尋ねることもできないまま,二人の顔を交互に見つめた。

「なんちゅー顔してんねん。そんな目ぇ開いとったら目玉落っこちてまうで?」
「そうそう。そんな顔するより先に,まずは云うことがあるだろ?」

促すようにじっと二人に見つめられ,俺は顔がかぁぁ,と赤くなるのがわかった。
なんだこれ。
うわ,なんだこれ。

「うっわ,ギル赤い!トマトみたいやんなあ」

るせ,黙れ,と云いながらも,頬も鼻の頭も熱い。
俺は眉間にぎゅっと皺を寄せると二人の顔を睨みつけ,バツの悪さを隠しながらも「サンキューな」と礼を云った。

「でも俺,なんも用意してねーぞ」
「お礼は二月でいいよ」
「は?二月? 」
「そうそ。二月の十四日は何の日や?ギル」
「二月十四日…って,バレンタイン?」
「ご名答。楽しみにしてるから」
「いや,じゃなくてなんで俺がバレンタインにお前らに…」
「そんなん,決まっとるやんなあ?」

アントーニョの声に,フランシスも顔を見合わせてニヤリと笑った。
しかし言葉の続きはなく,なのに俺は頭の中が一杯で突っ込むこともできなかった。

「どや,マフラーあったかい?」
「ん」
「ギルはいっつも寒い寒い云うくせに薄着やから,あった方がええかなーて思ってん」
「サンキュ」
「ちなみに俺のはいつものお手製ね。バイトから戻って寝ないで作った逸品だから,大事に味わって食べるように」
「おー」

首に巻かれたマフラーと,手の中の小さな箱。
暴れだしたくなるような嬉しさをぐっと押さえつけても,どうしようもなく顔が笑うのが押さえられない。

「あ,そだ。お前らちょっと待ってろ」

云うなり俺は踵を返して店に飛び込んだ。