meet again
それを聞いて、オレは目を閉じて両腕をだらりと下ろした。体から熱が出て行く感触が、少し薄まっていく。気分の悪さはいつの間にか消え去っていた。
「……おいおい、俺はお嬢ちゃんの台詞をそのまま伝えただけだぜ? あっさりクリアかよ」
目を開けると、オレは薄い煙に包まれていた。そして、ウイングさんの周りにも同じようなものが見える。
「これが『オーラ』ですか」
「多分、な。その状態で普通に動けるまで、集中してやってろ。俺は表で火を起こしてくる」
彼が出て行った後、軽く気を抜くとまた体から煙が吹き出した。慌てて集中して、オーラを体の回りに纏わせる。普通にこの状態を保てるウイングさんは、もしかしたらすごい人なのかもしれない。
これをマスターすれば、少しはオレも使えるヤツになれるだろうか。
……もう、みんなに見捨てられることもなくなるだろうか。
作品名:meet again 作家名:皆戸 海砂