桔梗
庄左エ門を抱きしめながら、つぶやいた。自分が安心していることに気がついた。そして、この仲間が好きなんだと再認識した。イクとヤミには怪我をさせる程度に襲えと言ってある。殺しはしない。けれど、学園の皆に手を出したことは後悔してもらう。そう、思う。
「もういい」
山賊が逃げ、そして庄左エ門を離す。
「…殺したんですか?」
「そう思いたければそう思えばいい」
今、それは感情のままいうことではない。
「ヤミ・イク。ありがと」
二人に外に出ていくように指示をする。そして、眷属に伝える。
『山賊を逃がすな。追いこんでおけ』と
音なき声は二人に届き、声を乱太郎に届けた。帰ろうとしたが、両担任と鉢合わせしてしまう。それに利吉の気配もした。
『会わないでいくつもりだったんだけど』
いくつか質問されたが、簡単にあしらい小屋を出る。そして、走りながら口笛を吹いた。それと同時にイクが並走した。乱太郎はイクに捕まえている山賊の元に向かうように指示をした。
「…なんで、あそこにあの人いたんだ?」
利吉のことである。スエの情報から伊助達を学園の送ったのも利吉らしい。
「…仕事してるのかあの人」
そう思えて、ならない。
「スエはそのまま先生と庄ちゃんとこ行ってて。私は…」
さあ、どう料理してやろうか。
私の友人にてを出したことを後悔させてやる。
「イクもヤミも手伝ってね」
笑う乱太郎は、それは楽しそうにつぶやいた。
その後の山賊達に行方は誰もしらない。
「庄ちゃん!!」
「伊助」
「庄左エ門、大丈夫か!」
「兵太夫」
「よかった…無事だった」
「三治郎」
お使いで一緒だった仲間の無事な姿に庄左エ門は安心した。
「庄ちゃん、怪我したの?」
「ちょっと、挫いちゃった」
「保健室にいかなきゃ」
「お前達は今日はもう休みなさい。私が保健室に連れていくから」
土井の言葉にそれぞれが渋々頷く。
「…庄ちゃん」
「「庄左エ門」」
「「「おかえり」」」
「ただいま」
戻ってきたと庄左エ門はそう思った。
保健室へ行く途中、は組の皆におかえりと言われただいまと返した。やはり、嬉しかった。
「すまん、誰かいるか?」
保健室の中へ入れば、そこにいたのは三反田数馬と鶴町伏木蔵だった。
「土井先生?」
「伏木蔵? 乱太郎はいないのか?」
「今日は僕と数馬先輩です」