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桔梗

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「…そうだよね」
乱太郎の服の下は傷だらけだ。それは、忍務でついたもの。華乱として仕事をした証拠。
「僕なんて、乱太郎の所為で包帯巻くのすごくうまくなちゃったよ」
「乱太郎、自分が傷つくことに無頓着なんだよ」
庄左ヱ門が困ったように笑う。
「どうしたら、いいのかなぁ」
庄左ヱ門が伏木蔵に相談したかったのは、そのこと。乱太郎が華乱と知ってからいくつか気が付くことがあった。それは乱太郎自身のこと。乱太郎は人一倍周りに気を遣い、怪我や危険を取りのぞこうとするのとは反対に、自分自身にはとても甘やかしがなかった。身体は悲鳴をあげているのに、無理をする。知っている者が危なけれ自分の身を犠牲にして守ってしまう。見ている方がはらはらしてしまう。
「まったく、なんであんな守り方しちゃうのかな」
「それ無意識だって。乱太郎だもん」
 伏木蔵は、は組より先に乱太郎の華乱と出会っている。そして、話もしていた。そのときはまだ乱太郎=華乱だとは気がついていなかった。けれど、保健室で乱太郎の怪我を治療しているうちに少しずつ乱太郎が華乱だとわかってきてしまった。そのころになると乱太郎もわかっていたのか治療を伏木蔵に頼むようになっていた。きり丸としんべヱに知られた後、伏木蔵は乱太郎本人から事実を知らされていた。隠しても、しょうがないと思ったらしい。その後、学園から消えようとした乱太郎を偶然知ってしまった喜三太と庄左エ門、そしてきり丸としんべヱと共にひきとめた。
「乱太郎は知らないんだろうね。自分がどれだけ僕らにとって大切なのかを」
「…それは乱太郎だしね?」
「そうだね。乱太郎だもんね」
 伏木蔵と庄左エ門は笑う。
「僕、乱太郎が帰ってきたら少し自分の身体のこと考えろ!って怒ってみるよ」
 伏木蔵の言葉に庄左エ門も頷く。
「僕らがどれだけ心配してるか、知ってもらわないとね」
「そうそう。やっと庄左エ門らしくなったね」
「伏木蔵もね」
「僕らで乱太郎を繋ぎとめないとダメなんだよね」
 乱太郎をここに留まらせているのは、一年全員との絆。そして、学園との絆。それがなくなったとき、乱太郎は絶対に自分達の前に現れることはしないだろう。永遠に。
「伏木蔵、僕らががんばらないとね」
「うん。庄左エ門」
 二人は拳と作ってお互いにコツンと叩きあった。

「…帰ってこねぇ」
作品名:桔梗 作家名:とーすい