桔梗
「あなたは自分の力を過信しすぎた。そして、もう1つは」
ピンっと、糸を弾いたときそこには男はいなかった。
「私とその親友をねらったことだ。死を持ってそれに答えろ」
男は乱太郎の言葉を聞くことはなかった。
その頃のしんべヱ達も敵に囲まれていたが、敵は動くことが出来なかった。
「何故、動けない!」
「そこにいるというのに!」
きり丸としんべヱはそれを不思議そうにに見ていた。
「何が起こってるんだよ?」
「わかんない。でも」
「でも?」
「乱太郎がなんとかする気がする」
「それはそうだな」
何故か、信じる事ができた。驚いた。乱太郎が急に動いた事は。けれど、自分たちを守るために何かしていることは確信できた。近くにいる狼も、梟も自分たちを守るように傍にいてくれている。
「ぐあ!」
「なんだ!」
「助けてくれ!」
「やめてくれ!」
辺りが騒がしくなり、敵が騒ぎだす。そしてキンっと音がした時には、辺りは静かになっていた。
「静かになったね」
「なったな」
そして、二人の傍で守っていた獣二匹がの視線が一緒の方向をみた。
そこにいたのは、乱太郎。
「乱太郎!」
「大丈夫か!」
見れば少しだけ血がついていた。二人は乱太郎が怪我をしたのかと思ったが、乱太郎が首を振る。
「返り血だよ」
「乱太郎…」
しんべヱが心配そうにする。
「イク、ヤミ。後はお願い。それと、こんなことを考えた城主に報復を。やりすぎちゃダメだよ? あそこらへんに転がってるのを持っていって。そして、伝えろ。風神の華乱から『忍術学園に手を出したならばこうなると覚えておけ』と。」
二匹は、乱太郎の言葉を聞き闇に消えた。
きり丸としんべヱは乱太郎の姿と雰囲気に少しだけ怖くなった。
「…怖い?」
乱太郎が少しだけ悲しそうに笑った。
「本当は…この姿は見せたくなかったんだけどな」
「乱太郎?」
「隠しててごめん…」
「乱太郎!!」
何処かへ行ってしまいそうな乱太郎に二人は腕を捕まえる。
「きり丸…。しんべヱ…」
「ど…こいくんだよ!」
「いかないよ…?」
「嘘だよ! 乱太郎、何処かにいこうとしてるもん。ダメ!、いっちゃダメだよ!」
「…怖くないの? 私が」
「「怖くない!!」
二人の声がハモる。
「人を…殺しているんだよ?」
「それは…オレたちだっていつか通る道だろ?」