桔梗
「そうだよ! ただ、それが早かっただけじゃない」
「でも、皆に自分のこと秘密にしていたよ?」
「誰にだって秘密はるよ!」
「だから、消えようとするな! オレ達、親友だろ!」
絶対に離さない!っと二人は持っている腕をギュっと握りしめた。
「きり丸、しんべヱ…」
「僕たち、乱太郎といたいの!」
「それに…。オレ達のこと置いて行く気かよっ。そんなのオレもしんべヱも認めないからな!」
「絶対にずっと一緒にいるんだからね!」
二人の言葉に乱太郎は身体の緊張を取る。そして、その場に座り込んだ。きり丸もしんべヱも一緒に座り込んだ。乱太郎は俯いたままだ。
「…乱太郎?」
「乱太郎」
二人の声に乱太郎は俯いていた顔をあげた。表情は泣きそうなでも嬉しそうな顔。そして。
「…きりちゃん、しんべヱ」
「うん?」
「なあに?」
「…ありがとう」
小さなけれどはっきりと乱太郎の言葉が二人に届く。そして、ギュっと二人の袖を握った。
それは、最初の小さな小さな綻び。けれど、それがこれからへと続く糸の始まりだった。