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桔梗

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乱太郎の手当てをしながら、土井に問うた。どう見ても普通についた傷ではない。
「学園に恨みを持つ城主の依頼で乱太郎、きり丸、しんべヱが襲われました。幸い、ある人物のお陰で三人とも無事でしたが乱太郎が倒れてしまったため、先に戻ってきたんです」
「…だから、乱太郎くんは怪我をしていたんですね」
この様子だと、手のひら以外はそのときついたものだと判断できる。
「左近くん、手のひらの手当てをしてください。伏木蔵くんは私と一緒にその後に他の傷の手当てをお手伝いしてくれますか?」
「新野先生」
「大丈夫ですよ。土井先生。先に学園長に報告してきてください」
乱太郎が心配だった土井に新野はにこりと笑ってそう促した。
「すみません。すぐに戻ります」
土井は報告のためその場を離れた。
「さて」
一番酷い怪我は手のひら。それ以外は軽い切り傷で薬を塗れば処置は終わる。
「左近くん、どうですか?」
「左手の傷はちょっとひどいです。乱太郎自身の力が思ったより強いみたいです」
見れば手のひらが血で真っ赤だった。よほど強い力で握りしめていたんだろう。
「こんなに握り締めて、何を思ったんでしょうか」
新野は思う。無意識に握り締めていた手のひら。それは乱太郎自身の深い思いが外に現れたということ。そんな中に、いつもの二人が走り込んできた。
「「乱太郎!」」
「きり丸、しんべヱ」
「大丈夫だ。眠っているだけだ」
「そうなんだ」
「よかった」
二人は安心した。
「おい、お前たちは大丈夫なのか?」
「オレ達は大丈夫です」
「乱太郎が守ってくれたから…」
「乱太郎が?」
きり丸は、しんべヱと目で会話する。そして、答えた。
「囮になってくれたんです」
「だから、オレ達は無事だったんです」
「そうか」
「…乱太郎は無茶しすぎだよ」
伏木蔵は、泣きそうになる。きり丸としんべヱも乱太郎の怪我をしていない手をギュと握りしめた。
「…大丈夫だ。お前らが泣いていたらこいつもっと泣くぞ? それでもいいのか?」
 左近の言葉に三人は首を振った。
「乱太郎が泣くのは嫌です」
「だから、僕らは泣いちゃダメなんだね」
 ぐいっと目に溜る涙をぬぐい、きり丸としんべえはお互いを見る。
「僕も…泣かない」
 伏木蔵もそういった。左近もそんな後輩の頭を撫でた。
「珍しい、先輩が先輩してる」
「だねぇ」
作品名:桔梗 作家名:とーすい