桔梗
「あのね? 僕も庄左エ門も二人と一緒なんだ。乱太郎が消えてしまうかもしれないって思ってる」
「僕達が知ったことが原因で乱太郎がいなくなる。そんなの僕らは望んでいないんだ」
「庄左エ門…」
「だから、言いに来たんだよ。二人に」
喜三太はにこりと笑った。
「僕らもここから乱太郎がいなくなるなんて嫌だから。だから、一緒に乱太郎がいなくならないように協力する」
「僕も庄左エ門もきり丸のしんべヱと同じきもちだよ」
「庄左エ門」
「僕もね。しんべヱももう泣かないで?」
「喜三太」
二人はきり丸達に言った。
「僕らで乱太郎を繋ぎとめよう? 乱太郎は多分ここから去ろうとしているよ。それはわかる」
「それは乱太郎自身も多分本当は望んでいないと思うんだ」
「だから」
「思ったんだ」
「「一緒に乱太郎を繋ぎとめよう? 四人で」」
二人の言葉に泣いていたしんべヱもきり丸も顔をあげる。
「…庄左エ門、喜三太」
「一緒に?」
「そうだよ。もう二人で悩まなくていいんだよ。不安にならなくてもいい。僕も喜三太もいる。だから…」
「もう泣かないで?」
「うん…」
「ありがとう…」
このところ二人が笑ったことはなかった。乱太郎もそれは同じでずっと皆で気にしていた。だからこそ知りたかった。三人が笑わない理由を。それを知ったのは二人だけだったけど。それでもきり丸としんべヱが笑ってくれれば。
「やっと笑ったね」
「うん。久しぶりな気がする」
「そうかな?」
「そうだな」
涙を拭きとり、そして笑う。
「庄左エ門、喜三太」
「うん?」
「なあに?」
「オレはしんべヱと約束した。乱太郎と一緒にいるって。庄左エ門も喜三太も…一緒だよな?」
「ああ」
「うん」
きり丸の言葉に頷く。
「なら、お前達とも約束したいんだ」
きり丸はしんべヱに振り向く。しんべヱもきり丸の顔を見て頷いた。そして、きり丸も頷いた。
「オレ達と一緒に乱太郎をここに留まらせること手伝ってくれ」
「僕たちだけじゃ、弱いんだ。だから…一緒にやってくれる?」
「勿論だよ」
「言われなくても、やっちゃうよ」
四人は笑いあう。そして、手を合わせた。
「絶対に乱太郎を一人にさせない!」
「ここに学園には組に一緒にいるんだ」
「皆で一緒に」
「皆で乱太郎と一緒に!」
それが約束。
乱太郎と一緒にいるための約束。