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桔梗

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 喜三太の声に二人は顔をあげる。見れば喜三太は大好きな蛞蝓さんと一緒ににっかりとわらった。
「二人が不安なのもわかるから。でも、少しだけ待っててあげようよ。乱太郎、ちゃんと言ってじゃない? 『帰ってくるよ』って。どんな形であれちゃんと帰ってくるって言葉にしてくれた乱太郎を信じよう? 大丈夫。帰ってこれなくても、そのときは僕達がいけばいいじゃない。だから、今は待とう?」
 喜三太の言葉に四人はぽかんとする。
「…喜三太、大人だなぁ」
「なんか、一番乱太郎のこと信じてるって感じだね」
「…喜三太、かっこいいねぇ」
「…そうだな」
 泣いてばかりで、心配ばっかり掛けていて。乱太郎が笑ってくれることが少なくなったことを皆知っている。それは自分達の所為だということも。
「喜三太のいうとおりか。…帰ってこなかったら迎えにいけばいいんだよな!」
「そうそう」
「じゃあ、…僕もう泣かないよ」
「そうだね」
「…皆で、待ってあげよう、乱太郎を…華乱を」
 伏木蔵の言葉に力強く皆で頷いた。

「ただいま、父ちゃん、母ちゃん」
「お帰り、乱太郎」
「おかえり」
 いつもの言葉に乱太郎は少しだけほっとする。乱太郎にとって二人は親であり師匠。
「ほら、何、入口で突っ立ってるんだい。早く、中に入りなさい」
「うん。母ちゃん」
 乱太郎は中へ入り、一息ついた。これから話されることを覚悟しながら。
「さて、乱太郎」
「はい」
「ここに戻されて理由はわかっているな?」
「…はい」
「乱太郎、いや華乱に問おう。お前はこれからどうしたい。どうありたい?」
 父の言葉に乱太郎は顔をあげる。
「私は…このまま学園に残りたい。華乱としてではなく猪名寺乱太郎として。けれど、華乱としての生き方を殺すつもりもありません。私は乱太郎であり華乱であるもの。それ以上でもそれ以下でもありません」
「私が学園に入る前に言った言葉は覚えているな?」
「はい。華乱の正体がわかったとき学園を離れよでしたね」
「そうだ。その言葉の意味もわかるな?」
「正体が知れれば危ないのは知った者達。だからこそ正体を知られることを禁じた」
「そうだ。だが、お前はそれでもあの学園にいたいとそういうのだな?」
「はい」
作品名:桔梗 作家名:とーすい