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桔梗

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 乱太郎は今にも泣きそうなしんべヱの頭を撫でる。その仕草にしんべヱはぎゅーっと抱きついて我慢できなかった涙をあふれさせた。
「…乱太郎、乱太郎!」
「うん。我慢させてごめんね」
「うわーん」
 しんべヱは乱太郎の言葉に大泣きした。乱太郎はそんなしんべヱの頭を優しく撫でた。
「庄ちゃん」
「おかえり。乱太郎」
「ただいま。…少し痩せた?」
「そ…んなことはないよ?」
「うそだ。私がいない間ちゃんと食べてなかったでしょ?」
 そういって、乱太郎は庄左エ門の頬を撫でる。図星のため庄左エ門は答えにつまった。
「ごめん…ね? 後で一緒にご飯食べようね?」
「ああ、絶対だぞ?」
「勿論」
 笑う乱太郎に庄左エ門も笑った。
「乱太郎」
「喜三太。ただいま」
「おかえり。…乱太郎なんだね」
「それ以外の誰かに見える?」
「ううん。見えないよ。でも…やっとここにいるんだなと思って」
「うん。ちゃんとここにいるよ。きさちゃん」
「なあに?」
「今度一緒にお昼寝しようか?」
「え?」
「ちゃんと寝てないかなと思って」
「…なんでわかるの?」
「ん? だって、蛞蝓さんたちがねぇ…」
 見てみれば壺に中から心配そうに自分を見る蛞蝓達が。
「あれれ?」
「あと、ありがとう。きさちゃんの言葉が私を支えてくれた。だから、ありがとう」
 喜三太は知らずに涙を流す。
「ら…んたろう」
「うん。喜三太」
「おかえりなさい」
「ただいま」
 喜三太の涙を指ですくって、そして優しく撫でた。喜三太は泣きながらも一番の笑顔で笑った。
「乱太郎」
「伏ちゃん」
「ちゃんと帰ってきたんだね」
「うん。約束は守ったよ」
「迎えに行かなくてもよかったんだ?」
「うん…詳しい事はまたちゃんと話すけど。父ちゃんと母ちゃんは私の事をちゃんと考えてくれていた。それが嬉しかったよ」
「そっか。ちゃんと自分の言葉で話せた?」
「うん。話した。だから、ここにいるんだもん」
「なら、いいや」
 伏木蔵が乱太郎の頭を撫でる。
「えへへ。伏ちゃんから撫でられた」
「乱太郎も後から撫でてよね?」
「りょうかい。伏木蔵」
「うん。おかえり。乱太郎」
「ただいま」
「らん…たろう」
「きりちゃん」
「乱太郎!!」
作品名:桔梗 作家名:とーすい