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【APH】ある冬の日の思い出。

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「俺のためだよな。でも、お前、あんま寝てないだろ。忙しいのは解るけどよ、お前には長生きして欲しいんだよ。だから、無理すんな」
「別に無理などしておらぬ」
「お前はすぐそう言う。今日一日くらい仕事サボったって支障ねぇだろ。俺様を構え!!今日は俺様を構う日、決定!!答えは、ja!しか認めねぇからな!」
「…プロイセン、お前、先程、私に言ったことと矛盾してないかね?」
プロイセンの肩の上、フリードリヒはぼやく。…もうすでに仕事を続行することは諦めている。言い出したら訊かないのだ。この我が国は。…仕方無しにプロイセンの肩に担がれたフリードリヒは溜息を吐いた。
(…しかしまあ、国の具現化とは不思議なものだな)
出会った頃は16〜17だった少年は今や、20代の青年の外見にまで成長し、痩せていた身体は僅かに肉が付き、それなりの体躯となってきた。…見掛けは成長がしたが、精神年齢の方はさっぱりだな…と、失礼な、プロイセンが聞いたなら憤慨しそうなことを思いつつ、フリードリヒがプロイセンの肩の上、揺すられていると揺れがぴたりと止まった。

「ま、入れよ」

下ろされて、開かれたドアの向こうはプロイセンの私室である。初めて入れるな…そう思いつつ、足を踏み入れた部屋は自分の私室と変わりなく質素だ。ただ言うならば、所狭しと雑多なものが積み重ねられ、天井高くまで積み重ねられたいつの時代のものか解らない古書や、小さな葉の入った琥珀が無造作に何枚にも重なった書類を押さえていたり、年季の入った剣が抜き身で無造作に壁に飾られていた。それをしげしげとフリードリヒは物珍しげに眺める。
 暖炉には火が入り、室内は暖かい。プロイセンはフリードリヒに椅子をすすめ、小作りなテーブルを出すと、準備しておいたらしいカートを引き寄せた。そして、カートの上のポットに湯を注ぐと懐中時計を取り出し、時間を計る。その懐中時計は以前、フリードリヒがプロイセンに贈ったものである。プロイセンはきっちり二分半図ると時計を仕舞い、優雅な仕草でカップへと茶を注いだ。マイセンのカップからは茶葉の柔らかな香りが立ち上り、その香りにフリードリヒは目を細めた。
「…ほう」
「何だよ?」
「お前がお茶を淹れられるとは知らなかった」