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(インテ新刊サンプル)翼あるもの

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『───骸!』
「どうしたんですか恭弥君、そんなに慌てて」
『どうしたもこうしたもないよ!』
 通信が繋がったと思ったら、この慌てぶり。
 普段の冷徹なほどの落ち着きぶりを知っているだけに、恭弥のテンションはおかしい、と骸は感じた。
『あの子が、見つかったんだ』
「…え?」
『だから、見つかったんだよ、ずっと探してたあの子が!』
「…ほ、本当ですか!?」
 恭弥の言葉の意図するところが解り、骸も思わず叫ぶようにして問い返す。
『間違いないよ。並盛に進出したがってる宗教団体の、生き神として祀られているらしい』
「生き神って…まさか」
『うん、十中八九羽や血で魔力をそぎ落として、それを自分の糧にしてるんだと思う』
「…相変わらずえげつない方法を取りますね、人間は」
 取り込んだとしても効果は一時的なものでしかなく、方法を誤れば取り込んだ者の命が危険にさらされるというのに。
「じゃあ早速奪い返しに行きましょう。恭弥君、場所は解るんですか?」
『ああ、これからメールで転送する。…凪は動ける?』
「凪ですか?ええ、あの子なら大丈夫ですよ。でも、どうして?」
『僕ら男だけで行くよりは、同じ女の子が一緒にいた方が良いだろ?』
「そうですね。……凪」
 頷いて骸が呼ぶと、すうっと霧が晴れるように姿を現した少女が彼の隣に立つ。
 骸とよく似た青みがかった黒髪の頭頂部を跳ねさせ、淡く紫がかった黒い大きな瞳を持つ美少女だが、右目を厳つい眼帯で覆い隠している。
 彼女は骸の従妹だ。
「お呼びですか、骸様」
「僕らの姫君が見つかったそうです」
「…ひいさま、が?」
 凪と呼ばれた少女は骸の言葉を聞き、大きな左目からぽろりと涙をこぼした。
「よかった…もう二度と、お会いできないかと」
「姫君を助けるためには僕らだけだと心許ないので、君の存在が必要なんです。一緒に行ってくれますね?」
「勿論です、骸様」
 涙を拭って、凪が大きく頷く。
『いまデータを転送したよ。できればすぐに行動に移したいんだけど、そっちはどのくらいで動けそう?』
「そうですね…二時間後、十五時には」
『じゃあ十五時に、データ転送した場所の入り口で合流しよう。データ上にマークが付けてあるから、そこに』
「わかりました」
 ふつん、と通信が切れた直後、凪が骸の肩口に顔を埋めた。
「むくろさま、ひいさま、いきてる、って…っ」
「ええ。並盛で恭弥君のつかむ情報に偽りはありませんから、姫君が見つかったのは確実だと考えて良いでしょう」
 ずっと探していた、彼らのあるじ。
 あのときは幼すぎて、守ることも出来ず逃げることが精一杯だった。
「必ず取り返しましょう」
 そして、彼の傍へかえす。