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合宿2日目、23時。

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「明日も朝練が待ってる、俺はもう寝るぞ」
合宿二日目二十三時。
でんと並んだベッドの右端へと足を向け、村越は低く告げた。
どうせ、明日も達海は碌でもない練習メニューをブチあげるつもりだろう。振り回される側としては明日に備え十分に眠り体を休ませておく必要がある。
「俺ももう、寝ます」
夏掛けをめくり上げたところで、風呂上がりの濡れた頭を適当に拭きながら雑誌を読んでいた赤崎も、促されるように左側のベッドへと向かってきた。村越は窓際のソファで不貞腐れたように膝を抱く男へと目をやる。
「ジーノ、お前はどうするんだ?」
赤崎はどうだか知らないけれども、村越は割合寝付きのよい方だ。両側が眠ってしまえば、真ん中に眠らせる予定の吉田は難儀するに違いない。かと言って、ソファに無理して眠らせるのも体には良くないだろう。
まだ起きているつもりならば、自分が真ん中になってもいいか、そんなことを考えて呼び掛ければ、ちらりと顔を上げた吉田は、しばらく思案するように視線を彷徨わせてやがて村越を見つめ返す。
「いや、ボクもそろそろ眠るよ?」
ゆったりとした呟きとともに、口の端がにっと上がる。なにか企んでいる時の顔だ、考えている間に長い脚でベッドの足下へと近づいた吉田はするりと着ていたシャツを脱いだ。続けてスラックスも取り去る。
「ちょっ! 王子、なにしてるンすか!」
あっと言う間に下着一枚になった吉田に、不穏な空気を感じたのか目を開けた赤崎が跳ね起きる。細身ながらバランスが取れた体は、同性とは言えまだ若い赤崎には刺激が強すぎるのだろう。普段の冷静さをかなぐり捨て、目のやり場に困るといった風情。狼狽える赤崎をまっすぐに見つめ、吉田は くふん、と笑う。
「なに、って、ボクは寝るときはいつも裸だからね。服なんかに締め付けられて眠ってたら、肩が凝っちゃうよ。ねえ?」
「王子! せめてパンツは履いたままでいてください!」
「ジーノ!」
慌てる赤崎こそ付け入る隙だと見なしているのだろう。赤崎の目の前でわざわざボクサーショーツの縁へと親指を潜らせた吉田に、村越は低く息を吐くと手招きをした。
「俺が真ん中で眠るから、お前はこっちで寝ろ」
このまま、赤崎を追いつめて彼に出ていくと言わせたいのだろう。ならば、下手にちょっかいを掛けられないように、自分が真ん中で眠った方が得策だ。
そのまま膝で真ん中のベッドまで移動して横になる。枕から、普段吉田の髪からするのと同じ甘い匂いがしている。それに微かに顔を顰めると、気づいたのか吉田が再び くふん、と笑う。
「ふうん……寝てる間に間違えてコッシーに抱きついちゃうかもしれないけど?」
「俺は隣で男が裸でいようが抱きついてこようが、別に構わん。眠ってしまえば隣なんて気にならんからな」
「……俺だって別にかまいません」
正直、意識のない間とは言え裸の男に抱きつかれるのはあまりいい気分ではないが、所詮嫌がらせの軽口だ。
あっさりいなした村越に、なぜだか赤崎が負けん気を見せる。そんな二人を交互に見つめ、吉田が宙へと息を吐いた。
「あーあ、了解。ボクは真ん中でいいよ、自分が寝ていたベッドに他の男が寝るだなんてゾッとするからね」
ぼやいて吉田は長い脚で赤崎を乗り越えると、村越と赤崎との間に収まった。
作品名:合宿2日目、23時。 作家名:ネジ