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ワールドイズアキラズ

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 そうだ、忘れるわけがない。会いたくない時に限って表れて、散々なことを言われ、そして……この手でケイスケを殺めた時に、自分を所有すると宣言されて監禁されて。……けれど、nに連れ出され、血の秘密を暴かれたときに現われてくれた。そして、手を。
「手を」
「?」
「下水道を抜けたとき……手を、引いてくれた」
 たぶん、その時に記憶と感覚が忘れられずに、自分はシキについていったのだ。好きな所へ行け、と言われた結果が、今の自分だ。
「――!」
 やはり、感じていた齟齬の正体はそれなのだろう。自信に満ちた目がわずかに動揺したのが見て取れる。
 なぜだか感じる落胆と――かすかな、本当に微かな安堵。どうして、このシキが、『シキ』でなくてよかった、と感じたのだろう。
「アンタは……俺の手を引いてくれた『シキ』じゃないんだな」
 ならば、夢を見ているも同じ。
 それにしても。
「どうしてこんなことになったんだ?」
 ふとアキラは呟いた。

作品名:ワールドイズアキラズ 作家名:黄色