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ワールドイズアキラズ

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「……!」
 読み進めていくうちに、涙があふれて止まらなかった。
 そこに事細かに書かれていたのは、これまでのシキの生活のすべて。何を食べたか、どんなケアをしたのか、そのときのシキの反応はどうだったのか。そして……取ってつけたように書かれた、シキがこうなるまでの『アキラ』の回想。
 その結びは、自分はあの時、本当にシキを止めてよかったのだろうか? ということで終わっていた。
 止めた。シキを。この『シキ』はNicoleを、プルミエの言う『弱さ』をその身に取り込まなかったシキだ。そして。おそらく、乗り越えられずに――喪った。
 そういえば、確かに手をとったときにNicoleと非Nicoleの共鳴反応がなかった。
「戦って、いるんだな」
 形は違えど。まっすぐ前を見て、シキは戦っている。……自分ではなく、プルミエのほうを向いて。
 自然に、柔らかな笑みがこぼれた気がする。
 その時だった。ぴり、と張り詰めた殺気を感じたのは。これとは違う、けれどよく似た気配はよく感じている。
 自分は総帥の一番側にいるのだから。
 この抜け殻のような『シキ』は自分の敬愛する総帥ではない。けれど。
「ちょうど、デスクワークばかりで腕がなまっていたんだ」
 けれど。シキの命を狙うだなんてなんてなんて不届きな輩だろう。
 武器、は目の前にあった。シキの使っていた、そしておそらく今は『アキラ』が使っているのであろう日本刀。
 それにしても。
「どうしてこんなことになったんだ?」
 ふとアキラは呟いた。

作品名:ワールドイズアキラズ 作家名:黄色