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擦れ違いからの

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狩沢と突然のことに反応出来なかったが自分を抱きしめた相手が門田だと気付くと、心の底で思っていることとは裏腹に抱きしめられた腕を音を立てて払い数歩後ずさった。
門田は驚いた目で狩沢を見つめ、狩沢も同じく驚いた様子で門田を見た。
狩沢のすぐ近くに立つ臨也はその様子を凄く楽しそうに目を細めて眺めている。

「っ……やめてよ、ドタチン」
「狩沢……あのな」
「分かってるよ。私振られたんでしょ。何も言わなくていいよ」

ホントは一言言って欲しかったけどさ、と狩沢は俯きながら話す。
その言葉に門田はすぐに否定の意を表す。

「か、狩沢。落ち着いて聞いてくれ、な?」
「振ったんでしょ?ドタチンは」

ひょいと狩沢の後ろから姿を見せる臨也。門田は彼を心底うっとおしそうな顔で見る。

「わー。ドタチンからそんな目で見られるなんて初めてかもしれないね。シズちゃんからはいっつもそんなだけど。あ、それでさ、話があるんだけど」
「ちょっと黙ってろ、臨也」
「絵理華ちゃん、俺がもらうね」

そう言うと臨也は後ろから狩沢を抱きしめ自分の方へと引き寄せた。狩沢は急に後ろから引っ張られた勢いで倒れそうになるが臨也の腕の中に抱き取られたことによって地面に倒れるということは無かった。
そのままくるりと狩沢の体を反転させ自分の方を向くようにして改めて抱きしめる。
狩沢は本当は嫌だったが、今はなんとなく門田の顔を見たくなかったので気が楽になった。
門田も自分のせいで今狩沢がこのような状態にあることが分かっているので何もすることが出来ない。

「ほらさっきもそうだけどさ、絵理華ちゃん俺の腕の中だったら凄く落ち着くみたいだし、ここはドタチンの出番じゃないと思うんだよねー。ていうか、ドタチンこの子振ったんでしょ?じゃあ、フリーだし俺がもらっても文句無いはずなんだけど」
「さっきも言ったが狩沢は俺の彼女だ。振った覚えも無い」

臨也の腕の中で狩沢はビクッと体を跳ねさせる。
しびれを切らしたのか門田が臨也との距離を縮め、狩沢の腕を少し強めの力で引っ張り臨也から奪い返すとそのままひょいと抱き上げた。
顔を上げるとすぐ門田の顔があり、顔を赤く染める狩沢。

「ちょっ、ドタチン!何してんの!?降ろしてよっ」
「暴れんなよ、狩沢」

しかし突然のことに驚きを隠しきれない狩沢はなおも門田の腕の中で抵抗をし続ける。
あまりにも狩沢が抵抗を見せるので門田は彼女を落ち着かせるために一つの行動に出た。
門田は暴れる狩沢の体を持ち上げ近づいてきた顔に自分の顔を近づけそのまま口付けた。
瞬間、狩沢は完全にフリーズし、ついでに彼女の頭の中も完全にフリーズさせることに成功する。
間近にそれをみた臨也はさして興味のなさそうな目でそれを見続ける。
顔を離して門田は狩沢をじっと見ながら告げる。

「……落ち着いたか?一応もう一回言うが、俺はお前を振ってねぇよ。振る気もない」
「……ドタチンの馬鹿」

狩沢は恥ずかしさや照れのあまり、顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。
門田は狩沢を抱いたまま路地裏を抜ける道を歩き出す。
じゃあな、と肩越しに臨也に別れを告げその場を後にした。

「……あーあ。失敗したな……?」

臨也は一言呟くと不敵に笑い闇の中に消えていった。


「へ、道案内?」
「あぁ。サンシャインシティまでな」
「あ、それで女の人と……」

狩沢は勘違いした自分を少し恥ずかしく思いながらも門田を訝しげに見る。

「・・・・・・ほんとぉーに?」
「・・・・・・本当だ」

門田は半ば何かを諦めたように溜め息をついて、それでもしっかり狩沢の目を見て話す。
ドタチンのこういうところが好きだな、と思いながら先程門田が淹れてくれた紅茶を口にする。


臨也は有名なデートスポットとして有名なサンシャインシティのとある店にいた。随分落ち着いた雰囲気のカフェ。彼は自身のいる窓側の席から小さく見える人を愛おしそうな目で眺めていた。
―――――この世の全ての人間が俺のものになればいいのに
臨也は一人悪趣味なことを考えながら注文したコーヒーを啜っていた。ふと横を向くと一人の女性が臨也の座るテーブルの脇に立っていた。彼女は――――――

「やぁ波江。遅かったね」
「・・・・・・あなたがここにいるってことは失敗だったのかしら?」

ついさっき門田に道案内を頼んだ女性、矢霧波江。
彼女は先程まで表情として存在していた笑みがまるで初めから存在していなかったかのように無表情で臨也の前の席に着くと、タイミングよく運ばれてきたコーヒーにのどを潤す。
臨也は手に持っていたカップをコトンと小さく音を立てて置くと、手を組んで机に肘をつき少し憎らしげに波江を見ながら話し出す。

「君はもう少し有能だと思ってたんだけどな。もう少し足止めかけてくれてたら、せめてキスの一回ぐらいは出来たかもしれないのに」
「あなたに特に好かれる人間なんて本当に気の毒ね、狩沢絵理華っていう子は」

窓の外を眺めながら相変わらずの無表情で淡々と答える。
そしてまた、コーヒーを啜る。

「もうちょっと足止めできなかったわけ?」

はぁ、と溜め息をついて臨也の質問に答える。
本当に面倒臭そうに先程のように僅かに顔を歪ませて。

「私もあなたからの仕事として嫌々ながらも全うしようとしたわよ」


「っ・・・・・・」

突然息を呑むような音を聞いたから訝しげに隣を歩いている男性を見上げた。
隣を歩く彼、門田は少し焦ったような表情をしていた。
――――これもあいつの計算のうちなのか
よく分からないが、今日与えられた仕事の八割方は終えただろうと一人で考え込む波江。


昨日の夜のことだった。
その日の分の仕事を終えてホテルに戻ろうとしたとき、珍しくこのタイミングで臨也が声を掛けたのだ。

「波江、明日の仕事。内容に変更があるんだけど」
「なに?」
「明日はここに仕事に来るんじゃなくて、指定された時間にココに来て欲しいんだけど」

臨也はそう言うと椅子から立ち上がり、波江の元へ歩いていき一枚の小さなメモ紙を手渡す。
波江はそれを見たとたん、苦々しそうに顔を歪める。

「・・・・・・なにコレ」
「ということで頼んだよ」
「外での任務なんて御免だわ。私がどうしてここで働いてるのか分かってるの?」

そう。矢霧波江は自分が勤めていた矢霧製薬からあの首を持ち出してココに逃げ込んだおかげで、一部の人間から追われる身となってしまったのだ。
住居もマンションを転々とし、居場所がばれないように努めている。なのに。

「こんな仕事引き受けられないわ」
「別に君じゃなくてもいいんだけどさ」

それなら初めから私以外の人間を使えばいいじゃないか、と心の中で反論しながら上着をく着て事務所を後にしようとする。
すると、臨也が目の前にさっと現れ、扉を開くためのノブに手が届かなくなってしまった。

「君だって好きでこの仕事やってんでしょ?雇い主は俺なんだからそんな権限無いはずなんだけどな」
「・・・・・」

何を言い出すか、何をしだすか分からない自分の雇い主に悪寒を感じながらしぶしぶ先の仕事を引き受け、事務所の扉を開いた。

「あ、出来れば小奇麗な格好してきてよね」
作品名:擦れ違いからの 作家名:大奈 朱鳥