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グランがガチで宇宙人というだけのお話

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「最近はこんなサッカーがすっかり当たり前になってさ。これはこれで面白いし、スッゲー燃えるなって思えるようになったんだ。でもさ、影山みたいにサッカーを利用して悪さをする奴もいる。エイリア学園の侵略があってから、改めてそのことを考えるようになったんだ。俺の知っている世界では、こんなことなかった。サッカーにそんな力はなかったから」

――守は全てを話してくれた。俺も、本当のことを話したい。
 初対面のグランに包み隠さず無防備に秘密を打ち明ける守に、誠心誠意応えたいとグランは思いました。
「俺、サッカーが好きだ。だからサッカーがこんなことに使われるのは、やっぱり嫌なんだ」
「そうだね。俺も嫌だ。……ねえ、俺の話も聴いてくれる?」
 グランは、彼がエイリア学園の邪魔をしている雷門中のサッカー部の人間だと気づいていました。しかしそれでも自身のことを打ち明けました。

「すげーなグラン!お前、宇宙人で王子様なのか!」
 守は疑うことなく目を輝かせました。彼が世界の壁を超えたことを考えれば、同じ世界の星から星へと移動することなどたいした問題ではないのかもしれません。
 二人はこの星、この世界の超次元サッカーの愚痴と面白さを語り合いお互いが似た境遇であることを確かめました。

グランが素性を明かしたことは、少なからず一期一会の縁という投げやりな気持ちもあったのかもしれません。ただエイリア学園のいざこざに彼を巻き込んではいけないと考え、自分がエイリアの関係者だと言うことは伏せていました。
「なあグラン、まだ時間あるか?サッカーやろうぜ!」
「……うん!」
――名前を呼んでもらるって、こんなに嬉しいことなんだ。
 いつかエイリア学園の皆にも、自身の本名だと知って呼んでもらえる日が来たら。……そして、彼らを本当の名前で呼ぶことが出来たら。
 淡い夢を描きながら、グランは守の誘いに頷きます。楽しそうにボールを蹴る二人の間に、世界の壁はありませんでした。



 翌日の朝。
 何の因果か同じテーブルで朝食をとることになった、グランと同じくマスターランクのキャプテンであるバーンとガゼル。食堂に席がなくしぶしぶグランの座っていたテーブルに同席することになった二人は、いつものようにグランに喧嘩を売ろうと荒を探しました。ところが一瞬で二人の目を奪った物体によって、しばし二人の口は塞がれることになります。
「……グラン。おい、グラン納豆」
「うん……」
「何してるんだよ、君。ちょっとそれ、納豆」
「うん……」
「いや、うんじゃなくて。納豆かき混ぜすぎてカニ味噌みたいになってんぞ。つーかそれ、本当に納豆か?」
「気持ち悪いんだよ。見るだけで食欲が無くなってきた。やめてくれ」
「うん……」
 しかし二人に制止されてもグランの手が止まることはありません。豆の原型は完全にノーザンインパクト。二人は幼少期に鉄分摂取のために食べさせられたレバーのペーストを思い出し、更に食欲を無くしました。

 明らかに様子のおかしいグラン。面白がって馬鹿にできるレベルの症状ではありません。
 通りすがりのプロミネンスのメンバーに確認したところ、誰より早く食堂にやってきて、延々と納豆を混ぜ続けていたらしいのです。
 どう考えても普通ではありません。ここまでくると二人はさすがにグランの心配をせざるをえませんでした。頭の。
「とりあえず、それ捨てろ。ほら、新しいの食えばいいじゃん」
 バーンは封を開けていない納豆と謎の物体をすり替え、視界から排除することに成功しました。
「そんなに丈夫な棒で納豆を混ぜるからそんなことになるんだ。こっちを使いなよ」
 ガゼルは同じ惨劇が繰り返されないよう箸を奪い、代わりに2本の爪楊枝を持たせてやりました。すると二人のもう止めてくれという気持ちが通じたのか、グランはようやく生気のある顔になりました。
「ありがとう。なんだか君たちと話していると、ジャーンとダゼルを思い出すよ……ウッ懐かしくて涙が」
「誰だよそれ」
 二人はグランにとってジェネシスの座を奪い取るライバル。しかしグランは二人を見て、故郷にいる腹違いの兄弟たちの不器用な優しさを思い出しました。

 守――友達との対立は、自覚すればするほど辛いものでした。
 侵略される側の人間である守と親しくなることで、グランはどれだけ惨いことをやっているのか思い知らされ、身を切られるような心地でした。まだ侵略を実行し、雷門イレブンと対立するのは別チームだというのに。

 そしてその実行チームであるセカンドランク、ジェミニストームの敗北の報せが届いたのは、そのすぐ後のこと。星の使徒本部に駆け抜けたその報せは、まさに青天の霹靂でした。
「エイリア石の力を得て、何故負けたのか」
「所詮はセカンドランクか」
 ジェミニストームは――ジェミニストームチームの子供たちは、記憶を消されてエイリア学園から追放されました。
 そしてそれに続く悲報。デザームが率いるイプシロン、ガゼルが率いるダイアモンドダスト。彼らもまた、雷門イレブンに敗れました。
「雷門イレブンだ」
「雷門だ。またやられた」
「まさか、エイリア石なしで俺たちと渡り合うっていうのか!?」
――次はガイアか。いや、プロミネンスならば……。

 星の使徒本部で多くの思惑が飛び交う中、星二郎はついに選択の時を迎えました。
「ジェネシスはガイアだ。頼んだぞ、グラン。愚かな雷門イレブンを倒し、私たちの力を世界に示すんだ」
「……はい、父さん」
 勢いに乗った雷門イレブンをとめるべく、選ばれたチームはガイア――ジェネシスでした。

 星二郎の野望のために侵略されるこの星。
 追放されたジェミニ・ストーム――同じ、エイリア学園の仲間。
 疑問は尽きないものの、グランは義理の父を責めることは出来ませんでした。


 
 陽花戸中を前座とばかりに倒し、続けて行われた雷門イレブンとの対決。
「遅いな」
「スローだね」
 星二郎の期待に応え、ガイア――ジェネシスは圧倒的な実力差見せる形で試合の前半を終えました。
「雷門イレブンとはこんなものか。これに後れを取るとは、やられた奴らときたら……とんだ面汚しだ」
「ああ……貧弱すぎる」
 敵チームのデータを受け取っていたグランは、敵チームのキャプテンは円堂守だと確認していました。そして守も、装いは変われどグランと呼ばれた少年を自分が知るグランと同一人物だと理解しました。
「なんでだよ、グラン!どうして、こんなことを……!くそっ、止められなかった!まだだ……まだ戦える!!」
「ああ、その通りだ円堂!」
「やってやろうよキャプテン、僕たちのサッカーをさ」
「おう!」
 守の周りには人が、仲間が集まります。形ばかりのキャプテンのグランとはまるで正反対の光景でした。

 強烈なシュートを受けながら立ち上がる守は、こんな状況でありながら以前に会ったときと変わりませんでした。ポジティブで、何があっても諦めない強い心。それを折らなければならない使命が、グランは憎らしくてたまりませんでした。

――守。こんなのちっとも楽しくないよ。あの時は違った。君とのサッカーは、もっと……。