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変化と想いと日常と

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「………こんのドヘタレがーーー!!!」
「がっ、頑張った方ですよこれでも!!」
「伝わんなきゃイミないでしょーが!!あぁもう、折角この私がわざわざ知らせてあげたっていうのに…!!」
頭を抱えながら、見代さんがぶつぶつ言っている。
…確かに師匠が待っている事を伝えてくれた事には感謝しているが…。
昨日。というか昨夜。
テントに珍しい人物が現れた。
…奇麗田見代。師匠の…想い人、だ。
何だか不機嫌そうに師匠と帰ったか尋ねられた。…こちらも少々ムッときて帰っていないと答えたら怒られた。
散歩の途中にたまたま寄ったと言っていたが、本当かどうかは怪しい。いや、それより。
「額にって何よ額にって!!口にしなさいよ!!そしてちゃんと好きって言いなさいよこのドヘタレが!!」
「容赦ないですねアンタ!!」
色々突っ込みたいこの人には!!
大体、私を焚き付けて、煽って、何がしたいんだこの人は!!
…師匠に、想われているくせにっ…!!
………しまったまんまと乗せられてあんな事をしてしまった私も私だーーー!!!
一気に沈む。
師匠は覚えていない…というか、眠りに落ちる寸前の事だ。認識していなかっただろうが。
………私はなんて卑怯なんだ………!!
落ち込む私の耳に、溜息が届く。
「…ホンット、あんたら馬鹿同士でお似合いだわ…!!」
…何故青筋浮かべて吐き捨てる様にそんな事言うんですか!!怖いですよ!!
「何か言った!?」
「言ってません!!」
思ったけど!!
…勘の鋭い人だ…流石というか、恐ろしい。
「全くもー…。で?その片割れはどこよ?」
片割れって…。
「…師匠なら校門で待ってくれていると…」
「また待ってんの!?」
「きょ、今日は早めに切り上げますよ!!」
「馬鹿だーーー!!」
「失敬な!?」
「だって馬鹿じゃないの!!何考えてんのアンタ!?とっととあの馬鹿と帰ってやんなさいよ!!」
「ちょっ、私はともかく師匠を馬鹿とか言うのやめて下さいよ!!」
「そんなトコばっかシンクロしてんじゃないわよこの馬鹿師弟!!どっちも馬鹿よあんたらは!!」
物凄く怒りながら窓の方を見る。
確かにここからでも校門は見えるが…。
と、見代さんの動きが止まる。…何だ、あの…驚きと、焦りの混ざった様な表情は?
私もそちらを見てみる。
師匠が校門の前で待ってくれていた。
そして…。
「…何してんだあいつら…」
自分の喉から、随分と低い声が漏れた。
…心情がモロに出るのは自分でもどうかと思うが。
そんな事を冷静に考える頭の中とは関係無く、身体は動いていた。
昨夜、師匠を送り届けてから修理した窓に手を掛け、無造作に飛び降りる。
悲鳴だか叫びだかが聞こえた気がするが、関係無い。
ずん、と重く鈍い音がして、下駄が地面にめり込むが、問題無い。
あぁ、師匠が驚いた顔でこっちを見ている。驚かせてすいません、師匠。
そして、兄さん。
「取り敢えず師匠から手を離して下さい」
…うまく笑えただろうか。師匠を怯えさせたくないんだが。
…どうやら意図とは真逆になってしまった様で、師匠がびくっ、と震えて兄さんの背に隠れてしまった。
兄さんが師匠を守る様に前に出る。…先程まで嫌がる師匠の腕を掴んでいたのに、ナイト気取りですか、兄さん。似合いませんよ?
「よう、努力。お前が部活で忙しいっつーから、俺が代わりに洋一を送っていってやろーとしただけじゃねーか」
「…そうですか。わかりました。ありがとうございます、兄さん。でも今日は私ももう帰りますから、師匠をこちらに渡して下さい」
「遠慮せず部活に精を出してこい」
「師匠を送り届けた後でも部活の助っ人はできますから」
「二度手間だろ。俺に任せとけ」
「いい修行になりますのでお気遣いなく」
「んなの洋一だって気にすんだろ。いーから俺に寄越せよ」
「…私の役目ですから」
「誰も決めてねぇだろ」
「私が決めてます」
「…できてねえ日もあるくせに」
「ぐっ…」
痛い所を…。
しかし何故ここまで食い下がるんだ兄さん。
まさか…いやいやいや、まさか、そんな。
と、頭を過ぎったその考えを打ち消そうとしている私の耳に、唐突に軽い声。
「じゃあ洋ちゃんは僕達が送ってくからねー」
「ガル」
「えっ?ちょっ!?」
いつの間にか、師匠の肩を抱きつつ友情兄さんが帰ろうとしていた。
「てめー友情!!」
「卑怯な!!」
…あいつらの中には友情兄さんも入ってたんだった。くそう。
「俺も俺もー!!」
「フッ…迂闊極まりないな」
「なんなのなんなのー!!」
………多分勝利兄さんにボコられたんだろう、土に埋まっていたボウフラが復活し、そこに加わって。ずっと傍観していた天才がさりげなくその中に入った。
どっ…どいつもこいつもっ………!!

作品名:変化と想いと日常と 作家名:柳野 雫