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温くなった微笑

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鼓膜を叩いて、決して大袈裟でない破壊音が脳に届く。突然の刺激にそれまでしていた動作を放棄しかける。
「先輩、行きましょ。巻き込まれても災難ですし」
後輩兼部下の呼び声に約半分が我に返って、名残惜しくも歩みを再開する。
時が凍り付いた此処でも、社会性を持った存在の人数が集まれば好みがある。よって固まり拮抗する派閥も、時としてひどく固執される権力も当然生み出される。
そうであるから純粋に利害関係を歯牙にも掛けていない諍いの方が余程物珍しい。

ああ、飽きたかな。ぽつりと一欠けらの思考だけで行動に移す。
「青葉くん、後始末は君に一任するから欲しがってた椅子を譲るね」
「え、いきなりなんですか、俺はもう貴方の傍に居るのがいいんですけど」
まごつく部下に何となく築いた地位を放り投げて身を軽くする。自分だって自由を身に浴びて何処がいけないのかと、そう思うまでには徒労が降り積もっていたらしい。既に重くなっていた上着を脱ぎ捨て、首元にある窮屈なネクタイを緩め深呼吸を一つした。

これで暇潰しを終わりとし、さっぱり全てを切り結んだ。
作品名:温くなった微笑 作家名:じゃく