Let Love and Friendship Reign
スイスはいつも通りスーツに着替え、ダイニングルームへとやってきた。
「お兄様、お早うございます」
リヒテンはいつも通り、朝食を準備していた。
しかし、その左手薬指に見慣れぬ指輪が嵌められていた。
―ゆ、指輪など、ア、アクセサリーを、ふ、普段から身につけることのない、リヒテンが、指輪だとーーー!!
スイスはそれを見つけてしまい、途轍もなく動揺していた。
「リ、リヒテン」
スイスは意を決した。
「はい、何でしょうか?お兄様」
リヒテンはスイスの動揺っぷりにはあまり気付いてはいなかった。
「そ、その指輪は、どうしたのであるか?」
スイスは精一杯、動揺を隠しながら、リヒテンに尋ねた。
「えっ、これですか?その……、ある御方から頂きました」
リヒテンは頬を赤らめながら、恥ずかしそうに言った。
「!!」
恋する乙女のように恥じらうリヒテンの様子を見て、スイスの体に衝撃が走った。
恐らく、スイスの背景には稲妻が走っていただろう。
―あ奴め、とうとうリヒテンに手を出しおったな!!我輩の手で成敗してるのである!!
スイスの心中は、ショックと嫉妬と憎悪が入り乱れ、誰にも止められない程荒れまくっていた。
「リヒテン」
スイスは一度眼を閉じて、何か考えを巡らし、それらがまとまると目を開いた。
「はい、お兄様」
リヒテンは何の疑問を持たずに、キョトンとしていた。
「急な仕事を思い出したのである。暫くは帰らんので、留守を頼む」
スイスは手早く朝食を済ませると、リヒテンにそう言った。
「はい、分かりました」
リヒテンは小さく頷いた。
「それから、戸締りをしっかりとする事、不審者は絶対に入れぬ事!!分かったであるな?」
スイスはリヒテンにきつく念を押した。
「はい、ご心配いりませんわ」
リヒテンはにっこりと微笑んだ。
スイスは自室に戻ると、手早く銃火器などの装備を必要最低限に整えると、自宅を出て行った。
最初の目的地へ向かう道すがら、携帯電話で上司に電話し、「暫くの間休暇を貰うのである」と一方的に一言言って、電話を切った。
この後すぐに、携帯電話の電源を切って、音信不通にした。
そして、スイスは最初の目的地であるドイツ宅に到着した。
「プロイセンはいるであるか?!!」
スイスは訪問を告げるチャイムも鳴らさず、玄関の扉をバァンとけたたましく開けると大声で叫んだ。
スイスの目的は、リヒテンの恋人(スイスは断固非公認を貫いている)である、プロイセンの消去だった。
作品名:Let Love and Friendship Reign 作家名:桜飴♪