空の境界~未来への軌跡~4
「危険よ」
と言われたが
「それができるのは君しかいない。」
と言われ渋々受け入れた。ちなみに事の発端が凜なだけに、拒否権なんてなかった。
そんなことは知らずに、見舞いに来てくれたと勘違い中の大輔は更に力を込めベットに引き込んでしまった。
棟子も不意を突かれそのままベットに倒れこんでしまった。
そして倒れてきた棟子を抱きした。
「約束道理、結婚してくれるんだね。」
棟子の顔が真っ赤になってジタバタし始めた。
「だ、誰がそんな約束したと言うのだ?」
「約束道理、覚悟を見せたのだかそうなるでしょう。」
「「結婚」なんか約束していない。約束したのは「婚約」だ。」
このとき、棟子の顔が真っ赤になった。自分で墓穴を掘ってしまった事に気がついたからである。
「それじゃ受けてくれるんだね。「婚約」?」
言霊とは、この日本において結構強力な魔力を有するものである。それにより、魔術等魔法に関係ある者達は慎重にならねばならない。しかし既に「約束事項」で「条件」をクリアーしてしまっていた。
いうなれば「YES」しか返答ができなかった。
「わかった。」
そう聞くと抱きしめていた棟子を強く抱きしめたそのままベットに押し倒した。
その様子を一部始終見ていた男「アーチャー」はヤレヤレと肩を竦めた。結局出番なしだったのだ。
(「アーチャー」良かったじゃないか。)
(現段階では確かに、最良の選択だ。)
(現段階?)
(そうだ。未来もし「封印指定」の姉が本当に戦うことになれば、「あの時」と後悔して、俺達を恨むかも知れないだろう。)
(そんな…)
(「そんな事無い。」と断言しない辺り成長したようだな。)
士郎の意思が沈黙を表した。
(それじゃ〜俺は本当の仕事をして退散するとしようか。)
隣で臨戦態勢をとっていた「セイバー」をいきなり抱きしめ耳元に呟くよう言った。
「「セイバー」俺も、お前もまた召喚される事があるだろうが、その時「求婚」するかもしれんから覚悟しておけ。」
「な、何を言っているのです?」
「それじゃあ、またな。」
そお言って「セイバー」を引き剥がすと、地上に向けて矢を放った。その先に黒桐幹也と両儀式が居る事に気がつき咄嗟に止めようとしたが、すでに遅く二人を射抜いた。
そして、「アーチャー」は消え「衛宮士郎」がそこにいた。
〜後日〜
結局その日棟子さんを捕まえることは出来なかった。
そして、一週間がすぎ「伽藍の堂」へ鮮花を連れて向かっていた。この一週間実家の家族との話し合いや結婚式や新居等のことで走り回っていたからだ。
そしてあの後のことだ。
「ロンドンで、今回の一件を片付けてくるから、暫くはあなた方も身の回りには気を付けたほういいわよ。」
「あ、それと彼女のお弟子さんは、高校卒業したら何時でも声を掛けていいわよ。それまで正規の師匠を準備して置いて上げるは。」
ということを言って冬木市に戻っていった。
そして、志貴君たちは、
「最後の最後で力になれずに申し訳なかった。」
と謝罪してくれた。
「その代わり、今回の入院費その他は「遠野家」が全て持つは。」
最も被害に合ったのは、隣の志貴君の待機していた部屋だったのだが、あえてそのことには触れないで置くことにした。いくら力が有るからといってこの子達に危険な思いは、さすがに気が引けた。セシルさんは、「今回の事は私も手をつくしてみるつもりよ。」との事だ。
僕達は、矢で胸を貫かれた後「この世ではない所」にとばされていた。
そこには、綺麗な花畑と白い「司祭」の様なドレスを着た少女が立っていた。
(ようこそ。私と同じく「この世の真実」に近い者)
彼女の声が直に脳に響いてきた。
「いったい、ここはどこだ。」
式は、刀に手を掛けいつでも抜刀しよう構えをとった。
「ここでの、戦闘は控えてくれ。「闇」が蠢き兼ねんからな。」
もう一人背後には片腕の「アーチャー」こと「エミヤ」君が立っていた。
「もしその気なら、俺が代わりに相手してやろう。」
「望むところ。」
「待って式。とりあえず話を聞こう。」
今にも切りかかりそうな式をなだめて、刀の柄から手を離さした。
(理解してくれてありがとうございます。)
少女は深々と頭を下げた。
(ここは、「真実」にもっとも近い場所です。あなた方は「根源」とも「ユルグドラシル」とも呼んでいる場所に至るための「場所」です。)
「荒耶宗蓮が言っていた所か。」
「あの魔術師どもとは違うが、俺たちは「聖杯」を使いそこへ向かうことができる。そして、その場所に今いるのが俺の姉に当たる彼女だ。」
どう見ても、「エミヤ」君の方が年上のような気がするが、これは言っていいのだろうか?
「家庭の事情という物だ。」
ここでは、思ったことも聞こえてしまうようだ。
(はい。そうです。「探し手の眼」を持つ人。)
「で、なんで俺たちをここに呼んだんだ。」
(はい。「あなた」と「彼」の子供に祝福を与えようと思い、「異界」から呼んできてもらいました。)
「な。」
式の顔が真っ赤に紅潮した。僕は何を言っているのか良く解らなかった。
(まだ、彼に伝えていなかったのですか?そのおなかに…)
「わわわわわ」
式が壊れたと思う程、動揺していた。いったいどうしたというのだ。「エミヤ」君も必死に笑いを堪えている様だった。
(私が言っても言いのですが、ここは母親になるのですから貴方の口から言ったほうが良いでしょう。)
「そっそうだな。」
母親?なにを言っているのだろうか?そう言って式は僕の手をとりお腹に触らせた。
「こっここに、そのお…お前と…お…俺の…その…こ…こ…こ…子供が…あの…宿って…居る。」
何を言われたのか、自分も解らず呆気にとられ呆けていた。何か重大な事なのは解るが良く聞こえなかった。
「だから、俺のお腹にお前の子供を身ごもったって言っているんだ。」
一瞬思考が停止したがようやく理解できた。次の瞬間何も考えず、僕は式を抱きしめた。「父親」という物に自分がなったことを知った。それは、どう表現したらいいのだろうか?
そう。自分は「山の様な存在。」に成らなければいけないという義務感と、この子の為に吹く
「本当は優しく成りたい台風のような風」にも成らなければいけないと思った。でも今は本当は「嬉しい。」以外の言葉が思いつかなかった。
「怒らないのか?」
「どうして?」
「だって、今まで隠していたしそれに俺はお前に黙って産む気で居たんだぞ。それに一週間も逃げていたのだって……」
そんなこと僕には関係がなかった。
いや充分に関係があるが、それ事態人生設計の前倒しでしかない。「後何人産むか。」とかは、結婚してから考えればいい。ともかく「嬉しい」それしかなかった。
「熱い熱い。姉さんこいつ等祝福はいいから、元の世界に帰しましょうか?」
「エミヤ」君達が居る事を嬉しさのあまりすっかり忘れていた。
その様子を、少女は優しそうに微笑み眺めていた。
(「命」の誕生は例え「望まれぬ者」でも「美しく」そして「喜ばしい」ものね。)
作品名:空の境界~未来への軌跡~4 作家名:旅する者