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【DRRR】 emperorⅠ 【パラレル】

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「おっはよー、帝人!!今日も朝からカッコイイ俺を頭から足の先まで見てくれ!何か感想ないか!?」
「おはよう紀田くん。中のパーカーを新しくしたからって、同じデザインの物じゃ気付かないよ」
「…おはようございます」
「あ、おはよう園原さん」
「紀田君、パーカー新しいんですか?」
「おっっはよう杏里!今日も朝からエロかわいいな!そう、気付いてくれちゃったかい、この溢れ出るフェロモンに!確かに全く同じ物だが、新しいのに変えみた!!どうだい新生正臣の魅力は!」
「竜ヶ峰くん、…どうしてわかるんですか?」
「昨日、一緒に買いに行ったからね」
「2人ともガン無視!?」

仲のいい杏里、正臣と向かう学校は、過去よりも現在、未来に生きるためにみんなが一生懸命に青春を謳歌し、目新しいものを最も必要としているところ。
それは今までの時間とは切り離されていて、とても楽しい。
帝人は今日もきっちりと着込んだ制服に誇りを持ちながら、校門をくぐって行った。

しかし、その平穏が崩れたのは、昼休み。

やはり3人で集まり、屋上でのんびりと昼食をとっていた時だった。
昼食時の音楽放送は、放送部が好き勝手に流している音楽ばかりで、ほとんど聞いている学生なんていない。
それが、本日はやけに校内が静かになった。

「あれ?コレ、あれじゃね?昨日言ってた…」

動画の、と続けかけた正臣は振り返り見た親友の顔に息を呑む。
イントロが流れ出した時点で帝人は全身に電流が走ったように立ち上がって、そのままの状態で固まっていた。
その表情は血の気の引いた無表情。だがその瞳は明確な恐怖を映している。

「りゅ、竜ヶ峰くん?」
「おい、帝人どうし」

曲は学校全体から流れ出している。その雰囲気は聖歌のようだ。
うねる嵐雲の隙間から光が差し込むように、壮大で神々しいメロディーが鳴り響いていく。
そしてその音の合間を縫って天使が舞い降りてきた。
それは歌声。
神の威厳を感じるような圧倒的な雰囲気。
普段うるさい学校中が聞き耳をたて、雑音がなくなり余計によく響いていく。

その、瞬間。

「…っひ、いああああああああああああああああ!!!!」

歌声をかき消すように絶叫が響いた。
それは不思議と、音楽を邪魔することなくバックコーラスのようにも聞こえる甲高い声だった。

「竜ヶ峰くん!?どうしたんですか!!」
「ちょ、みか、…これか!!」

耳を押さえて、地面に伏せた帝人から、普段の彼からは想像も出来ないような悲鳴が上がる。
その様子に屋上にいた他の生徒は何事かと振り返り、杏里も何が起きているのか見当もつかずただオロオロと帝人の背中と正臣を見比べ、その背中に触れていいのか分からずに立ち尽くした。
正臣だけが、急いで内ポケットを探りポータブルミュージックプレイヤーを取り出す。

「帝人、顔上げろ!!」
「あ、ああああ」

必死に耳を押さえている手を避け、大音量で流行のJ-POPの流れるイヤホンをすべりこませる。
両方を帝人の耳に突っ込んだところで、ようやく悲鳴が止まった。
ようやく落ち着いた顔には、薄っすらと涙が見える。