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【DRRR】 emperorⅠ 【パラレル】

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新宿の情報屋、折原臨也。
池袋の喧嘩人形、平和島静雄。
都市伝説首なしライダー、セルティ・ストゥルルソン。
そして、一介の高校生、竜ヶ峰帝人。

どうしてこの面々に自分も混ざってるんだろう、と思いながら帝人は新羅のアパートのソファに居心地悪く座っていた。
何より両側に顔を見れば24時間ぶっ続けでも戦争をし始める2人が挟むように座っているのだ。生きた心地などどこに忘れてきたのかわからないほど、遠い存在になっている。
不思議なことにこの2人は何故か帝人のことをいたくお気に召しているらしい。
むしろ単に気に入らないヤツが気に入ってるヤツ、という嫌な構図を2人とも考えていて、互いに嫌がらせのつもりで自分にちょっかいをかけているだけで、本当は特に好かれてもいないのではないか、と、まぁ当然そんなことはないのだが、そう願いたい帝人である。

そして、そんな思いをしてまでこの2人に挟まれ座っているのは、一部帝人の自業自得でもあった。
帰宅途中に臨也に出会い、捕まっていたら静雄が背後から出現して戦争が始まっていた。
自分は何とか逃げおおせたのだが、両方にそこで待つように言われ、早く相手を片付けたい一心で普段よりも激化した喧嘩は、いつまでも終わらない気配。

「僕、お腹すいたから帰ります!」

意を決して叫んだところで戦争が中断し、ようやく池袋の街破壊が終了した。
しかし今度はどちらも夕食に誘うためにまた口論から喧嘩に発展しかけ、帝人は「どちらも結構ですから自宅に帰ります」と言い出せずに挟まれていた。
そんなことすれば戦争が激化するのは目に見えていたし、それは望まない事態である。

「2人とも怪我してるじゃないですか。ちゃんとお医者さんに行って治療した人とならご飯食べます」

そう言ったはいいが、この2人が医者といえば、知り合いはこの新羅しかいなかったのである。
どちらも譲らなかった結果がコレだ。
そろりと近づいて来るデュラハンは首がないにもかかわらず、今やこの空間の中で最も安心安全な生き物に思えた。
差し出されたPDAに浮かぶ文字も限りなく優しく見える。

(帝人、夕飯は鍋でいいか?この前、石川から漁師鍋の元を取り寄せしたんだ)
「わぁ、漁師鍋ですか、美味しそうですね。手伝います」
(いや食材切るだけだから大丈夫。というか、帝人はそこにいてくれないか?頼む)

セルティが謝るようにペコペコと頭を下げ、この2人の間からの脱出は叶わなかった。
事情を話せば気前よく(ここで食べて帰ればいい)と言ってくれたセルティの好意は本当にありがたく、その恩人の部屋を戦場と化させることも望まないので、帝人は仕方なく挟まれ続けた。

「帝人くん、帝人くんは音楽とか何聞くの?ipodとか持ってないよね?あんまり聞かない?」
「人並みに聞きますよ、ゆずとか、バンプとか」
「いちいちちょっと懐かしい系ついてくるよね。いや、俺も好きだけどさ。それじゃ、あれとかは聞かないのかな?昔、すごい流行ったんだけど。確か、シズちゃんも大好きだったよね」
「ああ゛!?」

にぃっと、口角が引き上げられる。臨也の見せるこの表情が嫌いだ。というか好きな人はいないだろう、と鳥肌をたてながら帝人は思う。
音楽の話、あまり振られたくない。
でもあまり芸術的なものに興味のなさそうな静雄の好きな音楽、というのは少し興味があった。
非日常の塊のような存在の一般的な日常部分。それは暴力的な情報よりもレアでむしろ非日常的なものだ。

「ほら、”エンペラー”だよ」

考え事をしながら耳に入れた情報は、何となく粘ついた音のようで、素直に脳まで到達せずに理解が出来ない。

「あれ?帝人くんは知らない?そっか、あれが流行った頃ってまだ帝人くんは小学生だったっけ?」
「……そ、うなん、です、か」

脳が理解しかけた瞬間に、相手から続けられた調子の良い口調に合わせ、適当な返事をして頭の中から情報を閉め出した。
違うことを考えなければ、思い出してしまう前に、更に深く話しが続かないように。
内心で焦りをひた隠しにしようと考えを巡らせる。
そんな帝人の様子を見てにやりとと更に笑みを深めると、臨也は更に続けた。

「ねぇねぇシズちゃんも好きだったよね」
「…ノミ虫が、俺に話しかけんじゃねぇぇえええ!!だいったい、その呼び方すんなって」
「まままま、待ってストップ静雄さん。暴れるの駄目です。これからお鍋ですから、ね」

眉間にしわをよせて立ち上がる静雄の腰に、帝人は慌てて飛びついた。
ぐいぐいと座るように引っ張れば、すぐに沸点が下がったのか、静雄も大人しくソファに腰を落とす。
少し空気が反れた。
ようやく久しぶりに生きている心地を思い出した帝人は、自分も座りなおしながら息を吐く。
そこでこの話を掘り返したのは、新羅だった。
包帯を手の中で投げ遊びながら白衣姿が振り返る。