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【DRRR】 emperorⅠ 【パラレル】

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「あーそういえば、静雄が一時期、純一無雑にずっと聞いてたよね。結局プレイヤーを幾つも壊して諦めたんだっけ。ほら、高校入ってしばらく聞いてた詩歌管弦というか、震天駭地な歌だよ」
「あ?何言ってのかわかんねぇ」
「少し前にネット上で話題に挙がって、セルティが気に入ったからCDを手に入れたんだよ。今じゃ超プレミア物だから高かったんだけどねー。もう絶版だし、中古への出品数が相当少ないし」

そう言って、新羅が棚から取り出したのは、もう2度と目にすることのないようにしていたはずの、アルバムジャケット。
その色も。
その写真も。

「あ、それ俺持ってた。それ聞くと破壊衝動が抑えられたんだよ」
「そうそう、静雄がイライラしたときにいっつも聞いてたよね」

目の前で静雄と新羅が楽しく思い出の談笑をする光景も目に映らない。
そのCDから目が離せない。
見たくないのに、瞬きすら忘れて。
無理だ。
  無理だ。駄目だ。
 やめて。来るな。もう。嫌だ。
やめてやめてやめやめやめややややややややややややあややややああああああああああ。


  戻ってくる。


「あ、あ、ああああ」
「帝人?」
「あああああああああああ」


  戻って、くる。


「ひいあああああ!!」
「帝人くん」

壊れる。その直前に。
臨也が帝人の目をふさぎ、耳元に口を寄せる。

「大丈夫。ここには音楽はないよ」

視界が遮られ、聴覚が敏感になる。
聞こえるのは、見るでもなく点けっ放しにされていたTVのニュースキャスターの声。心配そうに自分の名前を呼ぶ静雄の声と、キッチンから聞こえるぐつぐつと鍋の茹だる音。
遠くから聞こえる救急車のサイレン。
静かな、生活音。

ここに、歌はない。

肩の力が抜ける気配に気付き、臨也がククッと笑う。
新羅に何かを隠すように伝え、静雄がいい加減に手を離せと怒声を上げる。
そうしてようやく視界が戻った帝人は、先ほどまでの怯えも、戦争コンビに挟まれている緊張感も、何もなくただ無邪気に笑った。

「お鍋のいいにおいしてきましたね。いい加減、お腹すきました」
「え?帝人、お前さっきのは」
「あ、静雄さん。お鍋食べるときにサングラスつけてたら曇りますよ?というか、そういえば室内でサングラスって暗くないですか?」

クスクスと笑う姿に、不可解な違和感を抱いたが、それもすぐに消えていった。
これが、竜ヶ峰帝人であることに違いはない。
みなが一瞬、不安を覚えたなか、臨也だけはしたり顔でニヤリと目を細めて笑っていた。