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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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結婚狂騒曲3

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飛び交う銃弾に豪快にぶっ放される炎弾。ダイナマイトの爆発音に、宙をナイフが飛ぶ。刀が打ち合う金属音。ムチがしなやかに地面を削りとり、からみつく触手に、極限威力をひめたライフルが火を噴いた。雨雲もないのに雷は墜ちて、手榴弾の爆風に目をほそめた視界に、拳と足技がぶつかり光をはなつ。正体不明の獣の群をあざやかな軌跡を描きトンファーが打ち散らす。
つい数時間前まで閑静な別荘であった屋敷は一転、彼らが奏でる物騒で野蛮な狂騒曲でつつまれた。
ただ一人の観客に捧げる血と硝煙と炎のコンツェルト。
アップテンポにビートは踊り、いよいよ最高潮(クライマックス)だ。

「ひっ!」
超直感の警告に、とっさに飛び退いたツナヨシの頬を銃弾がかすめる。
(あいつら、わたしがいるってこと完全に忘れてる・・・このままじゃ・・・)
これ以上この場にいては命が足りない。『血の囁き』にツナヨシは逃亡を開始した。
そろりそろりと離れていくツナヨシだったが、ここでもまたドレスが邪魔をした。さすがはムクロの用意したドレス。呪いがかかっているとしか思えないタイミングだ。
「ふぎゃ!」
またしても裾につまづき、無様にずっこけたツナヨシを、ギロリと十五対の目が捕らえた。
ピタリとやんだ戦闘。無言のプレッシャーにツナヨシがダラダラと汗を流す。獲物を狩るライオンだってそんな目はしてないよ。
人間災害の筆頭、歩く不条理リボーンはにっこりと極上すぎる笑みをうかべると、彼女に囁いた。
「ツナ、今ならお仕置きしねー。戻ってこい」
「えへへへ・・・」
静かな脅迫にツナヨシが一歩後ずさる。
続いて暴君ザンザスがツナヨシに歩み寄る。
「てめー手間かけさせんなよ。おとなしく捕まっとけ」
「う・・・・」
迫り来る彼らに、ジリジリと後退を続けるツナヨシ。怯えに怯えまくった彼女がとった行動はただ一つ。
すなわち、くるりと背をむけると全速力で逃げることだった。
「あっ、てめーまちやがれ!」「ツナ!」「十代目!」
信頼を寄せる守護者たちでさえ、もはや敵だ。この世界の無情さをヒシヒシとかみしめながら、彼女は脱兎のごとく逃げ出した。

走る純白の花嫁、追いかける求婚者たち。映画のワンシーンのようだが、追われる本人は必死だ。捕まれば明日はない。逃げるツナ。その先には、戦闘開始早々に吹き飛ばされていたランボがいた。
「ランボ!」
「なはは。ツナがランボさんの胸に飛び込んでくるんだもんね!」
意気揚々とツナヨシを受け止めようと、大きく腕を伸ばしたランボだったが、無情にもツナはスルー。彼をひらりとかわすと、全速力で駆け抜けていった。
その背後にはツナヨシを追う面々。轢き飛ばされたランボは空に飛んでいきながら、叫んだ。無惨にも涙が尾をひいている。
「ぴぎゃーーーー!ガ・マ・ン・・・」
いや、ランボ。お前はガマンしなくていいから。
「十代目!一生お側に!」
とりあえず、鼻血を拭こうよ。獄寺くん・・・
「ツナ!オレと一緒に寿司屋やろうぜ」
山本、相変わらず爽やかな笑顔だけど、目がぜんぜん笑ってない。
「極限まかせろーーー」
いや、了平さん。あなた実は何もわかってないでしょう。
「クフフ、輪廻の果てまでおともしますよ」
ムクロ、ナチュラルにそれ死んでるから。
「ツナヨシ、キミを風紀委員会雑用係に抜擢してあげるよ」
ヒバリさん、丁重にお断りします。
「うぬ、ボスに献上する」
レヴィ、その献身ぶりはいっそ見事だよ。
「ししし、王子と結婚したら、姫だよ」
ベル、『切り裂きプリンセス』なんてごめんです。
「んふ、その体。コレクションに混ぜても一興よねー」
コ、コレクションって。了平さんがいるでしょう、ルッスーリア!
「キミをボスに持ってったら、特別報酬期待できそうだね」
マーモン、この守銭奴!
「う゛ぉぉぉい・・・ぶっ」
ザンザスに踏みつけられるなんて・・・スクアーロ、ホント間が悪いやつ。
「ツ、ツナ!オレが毎日鍛えてやるぞ、コラ」
鬼教官コロネロの訓練フルコース。いやだーーーイヤすぎる。
「ツナ、同盟の結束強くしようぜ!」
ディーノさん、その前にムチしまってください!!部下いないんだから、危険すぎる!
「てめーらいい加減にしやがれ!
ツナはオレの所有物に決まってんだろ!」
一度きっちり言いたかった。リボーン、絶対に違うからーーーー!!
「ツナヨシ、大人しくオレのものになれ。さもなくば、かっ消す」
ザンザス、憤怒の炎向けるのやめてーーー!

好き勝手にほざく求婚者たちに、追いつめられたツナヨシ。
背中には固い石造りの壁。眼前には互いに威嚇しながら、突っ込んでくる求婚者(おそらく)たち。まさしく背水の陣だ。
いくら眉目秀麗の集まりだろうと、端から見た目には『逆ハーレム』に見えようと。この中の誰を選んでも、苦労と心労の日々しか待っていない。今なお戦闘を繰り広げる不条理な面々に、ツナの怒りボルテージは極限に達した。
まさにその時、
「おい、沢田!」少しハスキーな少女のかけ声とともに、ぽとんとツナの前に落ちてきた物。これこそがツナヨシが今一番求めていたものだった。
ごくありふれた、この場にはそぐわぬ家庭的な品
―――それは毛糸の手袋。
すなわちボンゴレ十代目が愛用する唯一にして無二の武器、Xグローブ。血と炎に愛され絶対的な力で君臨するボンゴレ・デーチモは、顔を伏せたまま無言で手袋をはめる。
そして瞬時にXグローブに変化させると、その拳が鮮烈な炎を放つ。
「・・・おまえら、いい加減にしろーーーーーー!」
怒りに震える声で、ツナヨシは叫んだ。

作品名:結婚狂騒曲3 作家名:きみこいし