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バールのようなもの
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novelistID. 4983
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とがしくんと10人のノス

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法りつが決まったというニュースがながれたその夜。ノスは、とがしくんの家にやってきました。
「だめだったのすね、とがしくん。」
とがしくんはうつむいて返事をしませんでした。
そのかわりに、かすれた声で言いました。
「おまえの家の人たちなら、おまえを捨てるなんて言わないんじゃないか?」
ノスはさみしそうな笑顔で言いました。
「『おまえをこわすなんてできない、でも家にはおいておけない』って言われたのす。」
仕方のないことでした。ロボットを持っていることが役人にばれたら、もちろんノスは取り上げられてこわされてしまいます。そのうえ、大変なばつが待っているのです。
「ノス、おまえはそれでいいの」
とがしくんが聞くと、ノスはいっしょうけんめい答えました。
「分からないのす。これまでもずっと考えてたのす、おれはどうしたいのか。でも、どうしても分からないのす…」
それは、ノスたちがそういう風にできているからです。ロボットは大事なことは、自分で決められないのです。
「とがしくんは?」
「えっ?」
「とがしくんはどう思うのす?」
ノスはすきとおったガラスの瞳でとがしくんを見つめました。
「おれは…」
とがしくんはぐっとノスの目を見ながら、しぼりだすような声で言いました。
「おれは、ノスに生きていてほしい。二度とノスに会えなくなっても、ノスには笑って暮らしていてほしいんだ。」
ロボットは大事なことは、自分で決められないのです。とがしくんがそう言ったなら、ノスはそうするしかありません。
「ごめんな、ノス。」
「なんであやまるんだろわいよー!」

それからふたりは、夜が明けるまえに家をでました。