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バールのようなもの
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novelistID. 4983
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とがしくんと10人のノス

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ふたりは一晩中歩きつづけ、町からはなれた山の中にたどり着きました。
「さすがにつかれたな、休けいするか。」
「のす!」
「…それにしても、ここはひどいな。」
そこはあたり一面、ごみの山でした。ごみすて場ではありません。町の人たちがこっそり捨てていったのです。
洗たく機や冷ぞうこ、まだまだ使えそうなものもたくさんあります。
「あ、とがしくん、あれ!」
ノスが大きな声を出して、ごみの山を指さしました。
古ぼけたテレビの上に、モジャモジャのかみの毛をしたロボットがたおれていました。
「なんだありゃ、ノスにそっくりだぞ。」
「同じ工場でつくられた、兄弟かもしれないのす。」
「よし。起こしてみるか。」
ふたりはたおれているノスのところに歩いていきました。どのくらい前からここにいたのか、そのノスはかみの毛も服も、どろだらけでした。
とがしくんはリュックからよびのバッテリーを出すと、そのノスにはめてやりました。
どろだらけのノスはぱちりと目をあけました。
「起こしてくれてありがとうのす、兄弟!」
「どういたしましてのす、兄弟!」
「どうしてこんなところにいたのすか?」
「うーん…よく覚えてないのす。」
記おくのデータを消されたんだな。とがしくんは思いましたが、だまっていました。

「ふたりは何をしていたのすか?」
「おれたちは、ノスのかくれがを探してるんだ。」
とがしくんは、新しい法りつのことをかんたんに説明しました。
「そんなことがあったのすか…じゃあ、町にもどっても行く場所がないのすね…」
どろだらけのノスは、とがしくんとノスを見つめました。
とがしくんのノスは、とがしくんの顔を見つめました。

とがしくんはため息をつきました。
「じゃあ、おまえもいっしょに行くか?」

どろだらけのノスはうれしそうにうなづきました。
「のす!」

とがしくんとふたりのノスは、山道を歩き始めました。