とがしくんと10人のノス
3人は、ぐんぐん山を登っていきました。とちゅうから道路はアスファルトがなくなり、けもの道にかわりました。
「立ち入りきんし クマに注意」と書かれた立て札が立っています。
「クマが出るのすか?」
「ただのおどしだよ。」
とがしくんがそう言ったとたん、しげみからガサガサと音がしました。
「マジかよ…」
とがしくんはきんちょうした顔であとずさりをしました。
「いや、ちがうのす。」
「のす。」
でも、後ろにいるノスたちはのんびりしています。
しげみから飛び出してきたのは、ノスと同じ顔のロボットでした。
やぶの中を歩き回っていたのか、服がやぶけてボロボロです。
「やっぱり兄弟がいたのす!」
ボロボロのノスはうれしそうに言いました。
「どうして分かったんだ?」
ふしぎそうなとがしくんに、どろだらけのノスが答えました。
「おれたちは、電じ波でおたがいのことが分かるのす。」
とがしくんのノスが、ボロボロのノスにむかって聞きました。
「どうしてこんなところにいるのすか?」
ボロボロのノスは、なんでもないような顔で言いました。
「おれの持ち主に『もう帰ってくるな』って言われたのす。それで家から、ずっーとまっすぐ歩いてきたのす。」
どろだらけのノスは、目をまんまるにして聞きました。
「じゃあ、行くところがないのすか?」
「そうのす。」
3人のノスは、じーっととがしくんの顔を見つめました。
「…わかったよ、おまえもいっしょに来るか?」
「のす!」
とがしくんと3人のノスは、山道を歩き始めました。
作品名:とがしくんと10人のノス 作家名:バールのようなもの