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バールのようなもの
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novelistID. 4983
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とがしくんと10人のノス

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2人が3人、3人が4人。
ノスたちはどんどんふえていって、とうとう10人になりました。

「みんないるかー?はぐれたやつはいないかー?」
「のす!」「のす。」「のーす!」「大丈夫のす!」「みんないるのすよー!」「のす!」「平気のすー!」「のす!」「おれがかぞえてやるわいよー!」「のす!」
「ああもう、いっせいにしゃべるなよ。なにがなんだか分からないよ!」



「おーい!」
後ろからの声に、とがしくんはふりかえりました。
「今呼んだのはだれだ?」
ノスたちはきょとんとした顔で首をふります。
「おれたちじゃないのす。」「だれもしゃべってないのすよー。」「そうのすそうのす!」
「わかった、わかったからちょっとだまってくれ!」
ノスたちがぴたっとおしゃべりをやめると、モーターの動くウィーンという小さな音だけがやけにひびきました。

「おーい、だれかー!」

遠くからはっきりと、人の声が聞こえました。
とがしくんたちは、声のぬしを探しました。


声のするほうへすすむと、森がとぎれて道路があらわれました。
「とがしくん、こっちのす!」
ひとりのノスが、がけの下を指さしました。
道路のふちに立っているガードレールが、くしゃくしゃにちぎれています。
とがしくんが下をのぞきこむと、がけの下にバスが横になってたおれていました。


「おーい!大丈夫ですかー!?」
とがしくんが声をはりあげると、バスの中からわっという声がしました。

「たのむ、助けてくれ!何人もけがをしているんだ!」

とがしくんは自分のけいたい電話を取り出しました。
でもここは電波がとどかない山の中です。電話もメールも使えません。

「すぐにふもとまで行って助けを呼んできます!それまでがんばって下さい!」

走り出そうとしたとがしくんを、一人のノスが引き止めました。

「とがしくん、おれたちにまかせるのす。」