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you are my hero.

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こんなもんなのか、人間って。

そう思い及んだとき…臨也は。

笑っていた。


「ククク…アハハ」
真横から漏らされた声に、静雄が、目をむいて後ずさる。
「あははっ…ひ、ひ…おかしい…くくく」
「臨也…?」
腹を抱え、頭をうつむけて倒れ伏さんばかりに笑い声を上げていた臨也が、顔を上げた。
「おかしい、おかしいな…ははは!人間って面白い!そう思わない?静雄」
「なんなんだ」
距離を置いていた静雄に、ずいと詰め寄る。
「静雄、俺が今何を考えてたか、当てられるかな」
「そんなの…わからねえよ」
「嘘だね」
にい、と笑って、静雄の眼前に、人差し指を立てて見せる。
「俺が黙って君の横で話を聞いている間、俺が静雄に同情してると思っていただろう?屋上でキミを待つ間、ずっと君を心配していると思っただろう?俺が今日、授業に出てないって誰かから聞いたかな?そして屋上にいるかもしれないって考えて、ここに来て、こんな時間まで待ってるなんて、なんていい奴なんだ、って思わなかった?」
静雄は絶句した。おそらく、言われたとおりだったのだろう。
「でも…、そんなこと、全然ないから」
おそらく、彼にとって絶望的な言葉を突きつける。
「俺はね、わくわくしてた。君はついにやってくれた、そう思った。どんな事件だったのか、被害者はどんな怪我を負って、どんな顔をしてたのか、警察の事情聴取がどんなものだったのか、キミの懺悔の言葉も、すべて、洗いざらい吐き出してもらおうと思ってた」
「それはね、キミのためじゃない、俺の好奇心のためだ。まあ、1%も同情しないってことはないよ、俺も鬼じゃないからね。でも、好奇心のほうが勝るんだ。君への憐れみは明日にも消えているかもしれないけど、事件の全容を知りたいと思う気持ちは、てこでも揺らがないとおもう」
「だって…俺は、そのために君に近づいたんだから」

静雄の顔面が、見る見ると蒼白になり…やがて、目は赤く充血し、こぶしと、こめかみに青筋が浮いた。
「いざや…」
「俺のこと、何だと思ってた?ちょっとうざったいけど、気が利いていい奴だって?俺のことをよくわかってくれるって?それ、当たり前だから。だって、俺は君を利用するために、君の事を全部調べ上げてから声をかけたんだ。色んな人間から静雄のことを聞いたよ。面白いと思った。使えると思った。だから声をかけた。それだけのことだよ」
作品名:you are my hero. 作家名:さわたり