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you are my hero.

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哀れを誘う叫び声を上げて、ちょっとした泣きまねと、愚痴をこぼしてからつぶやく。
「ま、そういうもんだよね」

新羅は、時々、臨也と静雄の確執について思いをめぐらす。ほとんどの思考は愛すべき同居人にささげているから、あくまでときどき、であるが。
お互いを嫌いにきらい、殺し合いのような喧嘩をあきもせずに繰り返している同級生二人。
生来から相容れない性格なのはもちろん見て取れたが、だからこそ『うまが合う』ということもある。人は、自分に足りないもの、持ちえない物をもつ人間に惹かれるものだ。
それでも、彼らが確執を取り払わないのは…。

お互いに、求めているものが大きすぎるのだ。

二人を長く観察していて、そう思う。
折原臨也は、もともとの能力が、知力的にも体力的にも、バランスよく高い。
そんな人間がどうなるか。何もかもを持ち、誰とも争わず、貶められることもない人間が。
希薄になるのだ。
誰かに貶められたり、争って負傷したり、泣いたり笑ったりを繰り返さなければ、心は育たない。
折原臨也は、感情が希薄な人間に育った。でも、いってしまえばそれだけだった。高い知能で常識をわきまえてはいたから、犯罪を犯すことはなかった。

対して平和島静雄はどうか。
暴力の神に愛されたかのような超人的な力は、しかし突出しすぎるがゆえにバランスを欠き、彼からあらゆる物を奪った。家族も友人も、平穏な生活も。揺さぶられすぎた感情は、簡単なことで理性の糸を切ってしまう。犯したくないと思っていても、暴力と犯罪は、常に彼に付きまとう。

人を愛し、その愛ゆえにゆがみ、多くの人間にうらまれ憎まれている臨也だが、新羅は嫌いではなかった。

だって、先にゆがんでいたのは、どう考えても静雄なのだ。
愛情に飢え、過剰な理解を求めていたのは、おそらくは静雄のほうだった。ただ、臨也はほかの人間よりも多少希薄で、それゆえ静雄に惹かれ、近づきすぎて、彼に感化されてしまった。
作品名:you are my hero. 作家名:さわたり