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【DRRR】本音【臨帝】

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「当然、あんたが悪いに決まってるわ」
「ちょ。もう。だから波江さんその年齢になっても結婚の気配すらしないんだ。そういう一方的な決め付けで人を非難するのは良くないよ」
「あんたにだけは言われたくないわ」

 帰宅早々、帰ろうとしていた波江さんに縋りついて話を聞かせてみれば、返答というより単なる罵詈雑言だけが飛んでくる始末。
 もう少し、上司の機嫌とりぐらいできる秘書を雇った方が良いかもしれない。
 ああ、帝人くんとかどうかな。
 何だかんだでパソコンかなり使えるし、よく気が付くし、何より癒され…。
 いや、今日の帝人くんは癒されない。癒されなかったよ!

「四六時中、あの子に対する嫌がらせばっかり考えててたんだから、嫌われて当然でしょ」
「俺、嫌がらせしてない!」
「無自覚乙」

 酷いよ波江。
 俺は帝人くんに…。あれ?

「ねぇ波江。嫌がらせじゃなかったんだけどさ、俺って、何であんなに毎日帝人くんに非日常をお届けしに行ってたんだろ。帝人くんの言ってた理由は絶対違うんだけど。そりゃ、楽しい反応が見れるから、多少は酷いこと言うこともあるけど」
「え、嫌がらせでしょ、アレ」
「もう!違うんだよ!俺はただ帝人くんに毎日会いたいし、帝人くんが非日常を味わったときのあの恍惚とした笑顔を見たいから」

 あれ?じゃあ、これって何?

「…臨也」
「な、何ですか波江さん」
「あんた本当に無自覚でやってたの?」
「何なのさ、人間のありとあらゆる感情や動作パターンを観察してきた俺が、自分のことわかってないって言いたいわけ?失礼しちゃうなー。俺はいつだって素敵で無敵な情報屋さんだよ?」

 波江は腕組みして溜め息をついた。

「だったら、何で竜ヶ峰帝人が怒って帰ったのか見当がつくの?」
「それがわかんないから、聞いてるんだろ!」

 ああそうさ、俺は今、帝人くんが何考えてるのかさっぱりわかんない!
 笑うがいいよ!はははははははは!

「あんたが、竜ヶ峰帝人にしつこく付き纏う理由」
「うん。君の考える、俺が毎日帝人くんを弄って遊んで、優しく楽しくいろんなイベントを発生させている理由は?」
「……世間はそれを、恋と呼ぶのよ」

 こ、い。

「あー、サマーウォーズ最高だったよね。夏樹先輩のこいこいが」
「昭和みたいなボケ方してるんじゃないわよ。私だってあんたの保母さんじゃないんだから、いい加減つきあってらんないわ。せいぜい、恋を自覚する前にフラレた我が身を泣くのね」

 じゃ、とあっさり波江は帰ってしまう。
 こんな爆弾投下しといて帰っちゃうとか、ホントあの女どういう神経してんの!?
 甘楽ちゃんならそんなことしませんよーだ、プンプン!

 …っていうか、恋?

 って、それって俺が帝人くんのこと…。
 いやいやいや、無い。無いよそれ。
 だってあんな何の変哲もない高校生に。
 っていうか、俺は人間、ラブ!全ての人間を愛してる!1人だけを愛するなんて、そんなの満足できないね。だから人間も俺のこと…。

 違う。
 帝人くんは違うかったんだよ。
 分かってるさ、当然。自分が人間に好かれていないことぐらい。でも彼は違ったんだ。
 俺が何言っても困った顔で許してくれたし、酷いことした次の日も少し怒ってるぐらいで、ちゃんと俺の話を聞いて、俺の目を見ていろんなことを考えてくれた。
 時折ビックリするほど天然で、時折ドキッとするほど俺の予想外の展開を突いてくる。

 誰もがそっぽ向いて逃げ出して、近づいてくるのは俺がそう仕向けた取り巻きの女の子や、俺を利用する商売相手ばかり。それも俺の本性を知れば、さっさと背中を向けた。
 そんななかで、残ったのは、新羅と波江と帝人くんだけ。
 新羅は基本的に病気だから俺が何して何言おうとセルティ以外がどうでもいい男だし、闇医者が便利だからあまり仕掛けたりはしない。波江も弟くん以外は眼中にないので、俺のことなんてどうでもいいとでも思っているんだろう。
 そうなると、帝人くんは、異常。

「あれ?ってことは帝人くんてマゾ?意外に俺のこと好き?」

 あ、でも今日こっぴどくフラレたんだっけ。
 いやでも俺別に告白したわけでもないし、正確には違うよね。初めてあそこまで完璧に拒否されたにしても、ね。

「……そっか、俺、今日帝人くんに見捨てられちゃったんだなー…」

 唯一、残っていた俺の最後の、俺を真っ直ぐに見て、俺の相手をしてくれた人。
 それが、飽きた、って。
 何それ。俺が今までいろんな人に出会って、散々貶めて弄んで言って来た台詞じゃないか。
 飽きた、もう興味はない、って。
 こんなに、重い言葉だったの?

「そう言えば、俺、何度も言ってるけど、言われるの初めてだったなー」

 だからこんなにもショックなのか。それとも相手が帝人くんだったからショックなのか。
 たぶん、両方なんだろう。

「…世間は、これを…」

 『失恋』と、呼ぶんだろうか。
 まだ、これが恋だとは思わなかったし、俺は帝人くんに何も言ってないのに。

「……行かなきゃ」