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Marionette Fantasia

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2.まばゆい光



 タッタッタッタッ。階段を軽快に上がる音の後、カノンの寝室のドアが開けられた。
「カノン、朝ですよ。起きてください。」
 ヒヨノはカノンを起こしながら、窓のカーテンを次から次へと開けていく。すぐに部屋の中は陽射しで満たされた。
「ん…」
「おはようございます。」
 眩しさにくらむ目をこするカノンに、とびきりの笑みでヒヨノは挨拶をした。寝ぼけていたカノンの頭もようやく働くようになる。
(そうだ。昨日ついに僕は彼女を完成させたんだ。)
 昨夜は驚きと眠さでいっぱいだったためあまり嬉しいという感情は起こらなかったが、今朝になりヒヨノに起こしてもらうとふつふつと喜びが湧き上がってきた。
「おはよう、ヒヨノ。」
 喜びを噛み締めながら、カノンはヒヨノに声をかけた。それにヒヨノも笑顔で答える。
「おはようございます、カノン。カノンの了承も得ずに、失礼かとも思ったのですが、キッチンをお借りしました。朝ごはんの準備、出来てますよ。」
「え、そんな事までしてくれたの?」
「はい。少しでもカノンのお役に立てればと、思いまして。だから早く降りてきてくださいね。折角の朝食が冷めてしまいますから。」
 ヒヨノはそれではと一礼をすると階下へと降りていった。カノンも手早く着替えをすませ、ヒヨノの待つ居間へと向かった。食卓に並べられた朝食にカノンは驚きを隠せなかった。
 こんがりと上手い具合に焼けたトースト、カリカリのベーコンにスクランブルエッグ、それからみずみずしい野菜のサラダにコーンスープ。どれも特に難しい料理というわけでは無いけれど、カノンの想像していた朝食のレベルを完全に超えていた。
「これ…全部ヒヨノが作ったの?」
「はい。お口に合うか分かりませんが、どうぞ召し上がってください。」
 ヒヨノに勧められ、カノンはコーンスープを一口飲んだ。
「美味しい。うん、とても美味しいよ。」
 カノンはコーンスープだけでなく、トーストやサラダにも次々と手を付けていった。
「本当ですか?良かった。」
 自分の料理をほめられ、ヒヨノは照れたように笑い、カノンも一人ではない光に満ち溢れた朝に思わず笑みがこぼれる。これから二人の生活が始まる事を実感し、幸せでたまらなかった。



作品名:Marionette Fantasia 作家名:桃瀬美明