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【DRRR】 emperor Ⅱ【パラレル】

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11.トラウマ



小学校のチャイム。
夕暮れ。
帰宅する途中。
正臣が何かを見つけて駆けていく。
そのランドセル姿が林の中に消えた。

そこへ、通り過ぎるものと思っていた車が自分の横に止まり、男が出てきた。
幼い自分はその姿を見上げ、怖くなる。
ああ。この大人の男を自分は知っている。
つい最近まで、自分に「歌え」と言っていた人たちに向けて命令していた人だ。

学校のピアノが好きで、という話をあの音楽教師がしていていたこと、きっと覚えていたのだろう。
誰もいなくなった薄暗い教室の中で、大音量で音楽が鳴らされ始めた。
それは自分がこの間まで強要して歌わされ、そんな自分の歌から編集・派生させて、この男達が勝手に作ったメロディーだった。
そして満足げにピアノの前に座る男。
ほんの少し弾けることで調子に乗ったような残念な片手弾きの音で、鳴らせたCDに合わせて弾き始める、気持ちの悪い音。
彼は言う、「歌え、歌え」と。

吐き気がして、うずくまる。
暗いんだ。
世界も目の前も、この男の人の心の中も。

重たい体重に押し付けられた両方の手首が折れたかと思った。
その痛みよりも、目の前で異様なまでに視線をぎらつかせ、明らかに理性を無くしたような荒い呼吸と生臭い吐息に全身がすくむ。
圧倒的に自分よりも強い生き物に捕食される、本能的な恐怖が全身を襲った。
何をさせているのか、またはこれからされるのか理解も想像も抵抗もついていかない。
やがて服の下から手を突っ込まれ全身をまさぐられる。
ぬちゃついた音のする舌が首筋へ近づいてkrrrrrrr。

「―――――――――っっ!!!!」

口を開けて、お腹の底から、大声で絶叫した。
助けを呼んでいたんだ。
悲鳴を上げて、泣き叫んだのだ。

でも、何も出ては来なかった。
1つも声が出なかった。

恐怖と不快感と、ぬめる感触と吹きかかる息とザラザラした手の平になぞられて、鳥肌を通り越して全身が痛い。
キモチワルイ。
怖い怖い怖い怖い怖い。
ダレカタスケテ、タスケテ、タスケテ―――!!

………。

やがて僕は、必死に強張らせて抵抗していた体を、捨てた。
意識も、捨てた。
涙だけが、横向きに倒れた顔を伝って、鼻を越え、床へとただ落ちていった。

もう、何もなかった。
何も。