二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
cou@ついった
cou@ついった
novelistID. 13083
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【DRRR】 emperor Ⅱ【パラレル】

INDEX|9ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 

8.ソウサク願い



竜ヶ峰帝人は今、捜索願が出されている。
折原臨也の持つありとあらゆる手段を持っても探されている。
生ける都市伝説であるセルティ・ストゥルルソンもその馬を駆って街中を巡った。
平和島静雄が必死な形相で駆け回っている姿を何人もが目撃した。

しかし、携帯もサイフも持たず、真っ白な服を着てフラリと歩いて行った小さな少年は一向に見つからなかった。

おかしい現象だった。
池袋だけに限らず、この東京中にはありとあらゆる場所に防犯上、監視カメラが設置されている。
しかしどこにも映りこまない。
これほどまでに人で溢れた国で、誰も彼を目撃していないという。
半日たっても全く何の情報もなく、行き着いた先は、共通の友人宅だった。

「クソ、誘拐されたか」
「その可能性を考えて片っ端から当たってるし、彼の狂信者のサークルなんかも全部洗ってるよ。でも、まだどこにも引っかからないんだ。彼が話せないことで身代金の要求が出来ていないだけって可能性も考えられるけど、お金目的の誘拐は本来計画的犯行だから、その線も薄いよ」
「クソ、どこに…!!」

この2人が協力することなんて、世界が崩壊してもないことだと思ってたのに。
犬猿の仲というか、水と油というか24時間戦争中の彼ら、絶対に交わることのないねじれの位置にある折原臨也と平和島静雄が、顔を付き合わせて会話する様子を、ものめずらしそうに新羅は見つめる。
その部屋に、全身真っ黒のセルティが帰ってきた。

(帝人くんの実家のあるほうまで飛ばして来たけど、やっぱり目撃情報も何もないらしい)
「電車にもタクシーにも乗らずに帰省するのは無理だよ。お金も持たせてないんだし」
「どっかの誰かの車を拾って実家に帰った、ってのもねーのか」

こんなことならGPSを付けておけば、なんて呟いて頭をかき乱す臨也を横目に見る。
静雄も憔悴しきった表情で俯いていた。
確かに帝人くんを挟んでいれば何とか喧嘩せずに過ごしていた2人だったが、こんなにも一致団結しているなんて、不気味だ。
それほどまでに、あの存在が大きいのだろう。

「…なぁセルティ、ちょっと聞いてきて欲しいとこがあんだけどよ…」
(何だ?)
「奇遇だねシズちゃん、俺も今おんなじこと考えてたよ」

首を傾げるセルティに、自嘲気味に笑う男たちの視線が送られる。

「君、他の妖精とか、この世界ではあんまり認識されていないものとも話しできるんだよね?」
「帝人の話、聞いてみてくれねーか?」

まさかまさか。
この2人がセルティに妖精としての力を頼るとは思わなかった。
びっくりしてつい噴出してしまえば、殺意の篭った視線に晒される。

「だって、君たちがまさかそんな非科学的なものに頼り始めるとは思わなくてさ」
「…いや、そっちの方がもしかしたら分かるんじゃねーかと思って…」
「帝人くんは今、どちらかと言えばソチラに近いんじゃないかって、俺も思い始めちゃってさ。もしかしてもう、人の目には映らなくなってるかも、とか、ね」

泣きそうな表情をして、臨也が笑う。
長年の縁だが、こんな苦しそうな表情を見たのは初めてで、新羅は怪訝に思いながら、その馬鹿馬鹿しい考えを、この神を信じない男が心の底から本気で言っていることを知った。
目を横にずらせば、思いつめたように手を組んで頷く静雄に当たる。

本気だ。

「ついこの間まで人間だったものが、全く別の生き物に変わったって?臨也が中二病患者なのは昔からだけど、まさか静雄までそんなことを言い出すなんて、これぞまさに晴天の霹靂だね」

肩をすくめて、向けられた視線を受け流した。
全く、帝人くんのどこにこの2人をここまで変えてしまう力があったのだろう。この前もこの2人を引き連れて来ていたが、その時はまだ、至って普通の真面目な高校生だったように思うのだが。

(まぁ、話しが聞けそうなところがないか、当たってみる)

真剣みに気おされたのか、さっき帰ってきたばかりのセルティがまた踵を返して出て行く。
その姿にいろいろと声をかけて見送ってから、新羅は煮詰まった2人を振り返る。

「ねぇ。人ん家に押し掛けて私のセルティを馬車馬の如く扱き使ってるんだから、いい加減どうなっているのか教えてよ」

あれは体験した者にしか分からない、とか言ってはぐらかされ続けた真相を、新羅は再び尋ねる。静雄と帝人くんが大怪我を負った事件が何か関係している、ということは知っていたが、非科学的なものにまで及び始めた2人の思考が全く理解できない。