Götterdämmerung
特筆すべき出来事として、帝人が小学校五年生のとき、近所の空き家に知らない男が侵入し、立て篭もるという事件が起こった。
立て篭もった男は闇金で金を借り、返済に首が回らなくなって故郷の田舎に逃げてきたのだそうだ。
だがそれは、警察沙汰になることなく片付くことになる。
さてここで、男が借金をした闇金が、粟楠会系列の関連会社であったことを明記しておく。
男の居場所は何者かによって速やかにリークされ、当時若頭だった四木という粟楠会組員の指示によって連れ去られた。その後、立て篭もった男がどうなったかは知らない。生きているのか、死んでいるのか。
それから一年ほど経った四月、中学生になった帝人は東京に降り立っていた。
作品名:Götterdämmerung 作家名:はつき