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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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その手に大空の輝きを 5

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「では、リング争奪戦、最終バトル。サワダツナヨシvsザンザス。
すべてのボンゴレリングと互いの生殺与奪をかけて―――バトル開始!」
直後、ザンザスの鋭い拳撃が襲いかかるが、ツナヨシは紙一重で彼の攻撃をかわしていく。時に速く、時にしなやかに、その動きは、まるで舞踏をみているかのようだ。
「なっ、ツナのやつザンザスの動きを見切っているのか」
「あれが、ツナの『超直感』だぞ。ボンゴレの歴史上もっとも強い『超直感』をもつもの。それが沢田綱吉だ。その力は先代たちを遙かに凌ぐ」
(九代目の死期を予知するほどの、な。その力はもはや『直感』というより、未来を『確信』する力・・・)
「この七日間、オレとのスパーリングで鍛えあげたからな。超直感に体がついていくようになったんだぞ」
「はっ、カスが。ならこれは予知できたかよ!」
ザンザスは銃を取り出すと、後方へむけて引き金を引く。装填された特殊弾。蓄積された憤怒の炎が一気に解放される。炎を推進力にした高速移動。ザンザスは瞬時にしてツナヨシの間合いに入ると、拳をふるった。
「っあ!」
ふきとばされ、地面を転がるツナヨシにザンザスの猛攻が続く。なんとか体勢をたてなおし、ザンザスの攻撃をしのぐが、勢いをます攻撃をさばくだけで手一杯の状況だ。
「リボーン!ツナのヤツ、スピードが落ちてきてるぜ、コラ」
「どうした、ツナ。おまえの力はそんなものじゃないはずだぞ」

「はぁ、はっ」
「くははは、どうしたカスが。もう終わりか」
防戦一方のツナヨシに対して、ザンザスの動きはますますスピードを増し、先ほどまでとは比べものにならない。その高速移動にはツナヨシの超直感もおいつかず、加えてツナヨシの力が限界に近づこうとしていた。
「あっ!」足下の小石につまづき、よろけたツナヨシをザンザスの銃口がとらえた。
「終わりだ――――怒りの暴発・スコッピオ・ディーラ!」
連続で打ち出される、炎の弾丸。それはまるで空間ごと焼き尽くす、死の鉄槌。
「くっ!」必死に抵抗するかのように、ツナヨシが両手を前に突き出す。ツナヨシの拳に宿る炎が不規則に揺れる。
しかし直後、ザンザスの憤怒の炎が、ツナヨシを直撃した。
大地が揺れ、炎の熱が夜を焦がす。
「十代目!!」
「ツナ!!」
その圧倒的な破壊力に、ツナヨシの守護者たちが絶望に染まる。
たちこめる土煙が次第に薄れてゆくと、そこには地面に横たわるツナヨシの姿があった。
「くたばったか。体だけでも残るとはな・・・とどめをさしてやる」
「リボーンさん!」
「まだだぞ!」
ザンザスが近づこうとした瞬間、ツナヨシの体から大量の炎があふれ出る。
「くっ、なんだ!」
「成功だな、ツナ」
「リボーンさん。じゃああれが?」
「そうだ、オレとの特訓で獲得した、死ぬ気の零地点突破・改だ」
神々しいほどの炎をまとったツナヨシが攻撃にまわる。両手に集めた炎をつかって、瞬時に移動。ツナヨシの拳がザンザスを捕らえた。
「なっ!ツナのやつ、スピードがあがったぜ、コラ」
「そうか、これが死ぬ気の零地点突破・改か!ボンゴレのやつ、ザンザスの炎を吸収して、自分の力に変えたんだ。やるじゃねえか」

「カスが、零地点突破・改だと?これなら、どうだ!決別の一撃・コルボ・ダッディオ」
「なんてヤローだ。あいつの力は底なしか」
燃え上がる怒りの炎。これほどの憎しみと怒りに彩られた炎を宿す人間がいるのか。
「ヤベェな。あれだけのエネルギーを受けたら、ツナの体がもたねぇ」
ザンザスの巨大な炎を目にし、ツナヨシは瞬時に零地点突破・改の構えをとくと両手の炎を吹き出し、からくも『決別の一撃』をかわした。が、続くザンザスの激しい攻撃に、ふたたび防戦一方となってしまう。
「いくら相手の力を吸収できるといっても、あの炎は受ければ体がもたない。しかし、逃げ回っているだけでは、じきに捕まってしまう。くそっ」
「マズイな。あの炎をどうにかしないとボンゴレに勝ち目はないぜ」
「だが、死ぬ気の炎は最強の力だぞ、コラ。だからこそ『ボンゴレの象徴』だろう」
かなう相手など存在しない。唯一にして絶対の力。それゆえのボンゴレ。
「くははは、みたか!カスが。ボンゴレを支配するのは力だ!かっ消えろ!」
ザンザスの銃がふたたび炎を放つ。
ツナヨシは空中で反転すると、迫り来るザンザスの炎を見つめる。
―――死ぬ気の炎。それは、ボンゴレの象徴。でも、その力が間違った方向へ進むなら。
(わたしは・・・・止めてみせる!そうでしょう?九代目・・・プリーモ!)
「馬鹿な!つっこむ気か」
「無茶です、十代目」
「ツナ」
ザンザスの炎に飛びこむツナヨシの拳に、ひときわ輝く炎が宿る。ザンザスの真紅の炎に対して、それは、すべてを明るくつつみこむ光のような、やさしいオレンジの炎だ。
ぶつかる炎と炎。そして次の瞬間、たがいの炎が爆発し、両者ともはじきとぶ。
地面にたたきつけられたツナヨシはよろけながらも、起きあがる。しかし、ザンザスは・・・
「おい、ザンザスの手をみろ!」
「死ぬ気の炎が、凍った・・・」
「そうか・・・・・これが死ぬ気の零地点突破・ファーストエディションだぞ」
凍ることない絶対の炎、最強の力が封じられる。
「こんな馬鹿な・・・」
「だから、初代はこの技を編み出したんだ」
いつかボンゴレも道を誤るかもしれない。その時、止められる力を・・・プリーモ。
「それが、どうした!」
ザンザスは拳を地面にたたきつけると、無理矢理に憤怒の炎を解放する。
「ザンザス!だめだっ」
「うるせぇ!オレがボンゴレ十代目だ」
「っあ!」駆け寄るツナヨシをひき倒すと、ザンザスはツナヨシの首にかけられた鎖をひきちぎり、ボンゴレ大空のリングを完成させる。そして、自らの指にはめると、憤怒の炎をリングに灯した。
―――その瞬間、ボンゴレリングからまばゆい光がほとばしる。
閃光は鮮やかな炎をとなって、意志をもつかのように二人をからめとる。
「十代目!」
「ボス!」
彼らの守護者たちが見守る中、突如出現した炎の球が二人を捕らえた。