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二年後設定銀桂短編集

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伝えたいこと


頭上に広がる空の青が薄くなった。
雲も、そうだ。以前は大きくふくらんでいたのが、今は鳥の羽のように薄い。
暑い夏が去って、涼しい秋がやってきたのを感じる。
銀時は道を歩いていた。
まわりには田圃がある。
重たげに首をかしげる稲穂は薄茶色に染まっている。
もうすぐ収穫だ。
松陽やその塾生たちとともに稲刈りをすることになるだろう。
ふと、うしろからだれかが近づいてくるのを感じた。
その直後。
「銀時!」
呼びかけられた。
少年の声だ。
聞き覚えのある声で、一瞬、その姿が頭に浮かんだ。
銀時は歩く足を止めた。
そして、振り返る。
予想したとおり、そこには桂がいた。
桂はすぐに追いついてきた。
「さっき、先生から聞いたぞ」
先生とは松陽のことだろう。
桂は松陽の塾の生徒のひとりである。
今日の講義は終わったのだが、質問があるとかで、桂は塾に残っていたのだ。
「銀時、おまえ、今日が誕生日だそうだな」
「はあ?」
銀時はきょとんとする。
誕生日。
なんだ、ソレ。
そう思った。
すると、桂は困惑した表情になる。
「違うのか? だが、先生は今日がおまえの誕生日だと仰っていたぞ」
「そりゃ、違う」
銀時は否定した。
しかし、それで終わらずに、続ける。
「てゆーか、俺ァ、自分がいつ生まれたのか知らねーよ」
それは本当のことだ。
作品名:二年後設定銀桂短編集 作家名:hujio