二年後設定銀桂短編集
「それに、アイツらから真選組内部の情報をうまく聞きだすことができた」
かまっ娘倶楽部で働いているのは、正体を隠すためだけではなく、情報を収集する目的もある。
酒場には様々な経歴を持つ者たちがやってくる。
そのうえ、酒の入った者は気持ちよく色んなことを話してくれる。
だが、それにしても、自分たちが追っている相手に、そうとはまったく気づかずに、あんなにペラペラと気前よく内部情報まで話すとは。
思い出して、桂はまた笑った。
その笑みが妖艶な雰囲気を漂わせていることに、本人は無自覚だ。
しかし、銀時は笑わない。
「……その情報を聞き出すために、なんか特別なサービスとかしなかっただろーな」
不機嫌そうな低い声で聞いてくる。
「身体さわらせたりとか、しなかっただろーな」
「さわってはきたが、変なところではなかったし、軽くだ」
あっさりと桂は答えた。
けれども、銀時はむっとした表情のままでいる。
「変なところじゃなくても、軽くでも、ダメだ」
「さわられた本人が気にしてないのだから、別にかまわないだろう」
「俺がかまう」
「銀時」
「ちょっとぐらいさわられたって減るもんじゃねェとか思ってんのかもしれねーが、減るんだよ」
強い口調で銀時が告げる。
「俺の、特権が」
桂は眼を大きく瞬いた。
そうきたか、と思った。
少し考えてから、言う。
「おまえにはさわらせるどころではない特権を、たくさん与えているはずだが」
「それでもダメだ」
「ケチだな」
「ああ、ケチだ」
銀時は開き直った。
作品名:二年後設定銀桂短編集 作家名:hujio