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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記1

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「どうしました!!諏訪子様!!なにかあったんですか!?」
先程の諏訪子の間抜け叫びを聞いて慌ててすっ飛んできたような体になっているが、それにしては来るのが遅すぎる。実は諏訪子が叫び声を上げたとき、早苗はちょうど昼食の準備の真っ最中で、手が離せない状態だったのだ。まぁ、本当の緊急事態だったらそんなものは放り投げてそちらを優先するが、今回は、
(諏訪子様だったら、よっぽどのことがない限り大丈夫だろう)
と、準備が一段落つくまで放置したのである。早苗と諏訪子の信頼関係の強さがうかがえる(ちょっときついか?)。
「あー・・・早苗・・・」
「なんじゃこいつは?なんだか五月蠅いのが来たのぅ」
「怖い夢でも見たのですか?もう大丈夫ですよって、キャーーーー❤この子どうしたんですか?すっごく可愛いですね!!うあぁ、ちっちゃ~い❤可愛い~って、きゃーーー!!」
念の為繰り返すが、彼女はかつて現人神として信仰を集めていた存在である
「こっ、この子、足が一本しかないですよ!!それに、この子の体から、なにかすごい力の波動を感じます!!まさか、人間じゃないんですか!!」
幻想郷に移り住んでもう結構な時が過ぎているのに、加えて神様と一緒に生活をしているのに、今更人ならざる者を前にして、この驚きようである。これが今の早苗クオリティだ(確か、よくフルーツ(笑)なんて言われてからかわれてたっけね。いったい何のことだろう?)
「ほぅ・・・そういうのを見抜く力はあるんじゃな。」
「早苗、落ち着いて。この子は青蛙神っていって、顕界の大陸・・・中国があった土地から来たんだって。力の波動を感じるのは・・・まぁ、この子が神格だからじゃないかな」
 本来早苗が感じ取れるものを諏訪子が気付かない訳がないのだが、なぜ指摘しなかったかというと、自分の力と比べてあまりにも差があったため、気にも留めなかったのである。流石諏訪子は格が違った。
「セイアジン?どういう字を書くんですか?」
「どういう字を書くの?」
「青き蛙の神と書いてそう読む」
名前に蛙の字が入っているから、今の服装なんだとしたら、あまりに安直過ぎる。だが実際は服装の理由は別にあるので、それに関しては後述する。
「カエル・・・諏訪子様のお友達ですか?」
「いや、ボクも今日・・・っていうかさっき初めて会ったんだよ。寝込みを襲われてね(笑)」笑い話にしているが、神様がそんなんでいいのだろうか・・・。
「これは人聞きの悪い。あれは我が何度起こそうとしても洩矢殿が起きてくれなかったからではないですか」
いつのまにか微妙に敬語になっている。一応、礼儀はわきまえているらしい。
「ええと・・・要するに、お客様ですね。でしたらちょうどよかった。今昼食の準備をしていたところなんです。御口に合うかどうかわかりませんが、よかったら青蛙神様もご一緒に召し上がっていってください。あっ、そうだ!!神奈子様にも御紹介しないと・・・」「呼んだかい?早苗」
いつの間にか入口の襖に、背の高い、妙齢の女性が立っていた。
「おぉ・・・」
その女性をみた青蛙神は思わず感嘆の息をもらした。神奈子(と思われる)は姿こそ普通で、着ているものも赤のゆったりとした長袖に、濃紺のロングスカートといった、どこにでもあるような服装だった(あえて変わった点を挙げるとすれば、体の部分々々にワンポインとして注連縄【しめなわ】が巻かれているところか)。しかし、彼女から溢れ出ている神力が凄まじく、人間でも目で見ることができるほどのオーラが出ていた。
(お~お~神奈子ってば、ここぞとばかりに気合入ってるなぁ)
神奈子の性格を熟知している諏訪子にとって、今の彼女はギャグ以外の何物でもなく、ただ面白いだけだったが、青蛙神にしてみればそれは圧倒されるのに十二分の存在力だった。
「流石神奈子様、すごく良いタイミングです。こちらは青蛙神様。顕界の大陸から来たお客様です。今神奈子様とも一緒に皆でお昼ご飯を食べようという話になっていたんです。」
早苗も諏訪子同様慣れたものである。
「そいつはいい考えだね。顕界からの客人なんてうちでは初めてのことだし、外の話をいろいろ聞かせてもらいたいねぇ。おっ、そうそう、自己紹介がまだだったね。私は八坂 神奈子(やさか かなこ)。この妖怪の山を束ねている。この神社では・・・まぁ第二神だね。」
 言いながら神奈子はチラッと諏訪子の方を見た。諏訪子はおなかをさすりながら大きな欠伸(あくび)をしていた。
(やれやれ・・・)
これでも諏訪子に対して少なからず対抗意識に似たような物を持っている。もちろんとても仲が良いというのは大前提だが。神奈子にとって、意識している相手がこういう状態だと、まるで自分が無駄な事をしているのではないかと思ってしまう時があるのだ。それも結構定期的に。
(相変わらず張り合いがないねぇまったく・・・)
神奈子が心の中でそう愚痴っている一方、青蛙神は神奈子が話し終わった後も神奈子の方を見たまま固まっていた。
「どうしたんだい?固まっちゃって。」
わかってて言っているのだから、悪い女である。
(うわぁ・・・)
いくら諏訪子にとって彼女の性格が解っているとしても、それはイコール認めているというわけではなく、好きではない部分もある。幻想郷に移ってからも、事あるごとに指摘してきたが(時には大喧嘩になったこともあった)、今までいっこうに直る気配がない(現に今も目の当たりにしている)。やはり人の性格というものはそう簡単には変わらない。そもそも無意識なので、直す直さないといった話ですらないのだ。
「あっ、こっ、これは失礼しました。改めまして、私、青蛙神と申します。こことは違う世界の大陸で昔、蝦蟇仙人とともに民草に功徳を説いて回っておりました、霊獣でございます。このたびは、拝謁を賜り、恐悦至極でございますっ!!」
神奈子の神力にそうとう当てられたのか、一本足なのに器用にしゃがんだ状態で傅(かしず)き、初登場時からは(といってもまだ場面は全然進んでいないが)考えられないような言葉使いになっていた。
(この子も解りやすいなぁ・・・)
先ほど自分が話していた時のことを思い返して、また笑った。今日は諏訪子にとって面白いことが立て続けに起こっている。