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"忘却は罪"と忘れること勿れ

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パリンッ―
砕け散るグラス
苦しくて、呼吸できない
「…約束なんだ」
半年前、"彼"と約束した
…真実は、僕から明かすことは出来ない
『オレっ…ぜ、たいに帰って、きま…からっ』
だから、雲雀さん―
「…うん、約束だよ」
"君"が帰ってくるまで、待ってる
遺された記憶は、僕を永久に縛る鎖だ

『話が…あるんです』
赤ん坊に提示された期限残り一週間
沢田綱吉に呼び出された
電話越しでも伝わる震え
まだ幼さを残したテノールの声
久しく聞く声は、僕に覚悟を決めさせた
「雲雀、さん」
背後から声を掛けられ振り返れば、彼はいた
「…久しぶりだね」
「…はい」
沈黙。見えない隙間
ついこないだまでは見当たらなかった溝が今は僕らを別つ
「話って何」
つい感傷的になって、僕は悟られないように本題を切り出した
彼は少し迷う素振りを見せながらも、意志を決めたように口を開く
…僕は身構えた
「ひ、雲雀さんは…なんなんですか?」
予想外の質問
僕は訳が分からずぱし、と瞬きを数回繰り返す
「…どういう意味?」
「だから、オレにとって雲雀さんは、どんな存在なんですか…っ?」
(…嗚呼、そういうことか)
必死で気持ちをぶつけようとする彼の姿が半年前までの彼と重なる
…当たり前だ
記憶が足りなくても忘れてしまっても、彼である以上、目の前の彼は"彼"なのだ