"忘却は罪"と忘れること勿れ
半年前、僕らはとあるマフィア殲滅の任務に携わった
いつもと何ら変わりはない、任務のはずだったのに…
Ⅴ
『報告します。敵は……』
眼前にちらつく群れに苛つきながら下っ端の報告に耳を傾ける
敵はざっと100、対してこちらは11…力の差は歴然だった
けれど、不思議と負ける雰囲気は漂ってはいない
『行くぞ』
…彼が、共にいたからかもしれない
『なんとまぁ、随分と呆気ない』
『つまらないな』
途中から応援として来た六道は足下に転がる屍を見下ろしていた
『まったく…今日の任務は雲雀くん一人で良かったんじゃないですか?』
六道の言葉を彼は聞き流す
むしろ、彼には聞こえていないようだった
ぼんやりと、どこか遠くを見つめ続けていた
『今の沢田に、話しかけたって無駄だよ』
『意識の欠落ですか?』
『…そんなもん』
この時、僕らはしてはいけない油断をしていた
銃口の標準が僕の頭に合わせられていたことに気付かなかったのだ
『――雲雀さんっ!!』
彼が庇うのと銃声が聞こえたのは同時
パァン―
『――綱吉っ!!』
作品名:"忘却は罪"と忘れること勿れ 作家名:雪兎