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"忘却は罪"と忘れること勿れ

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銃弾は彼の右頭を胸を掠り抉る
目の前で赤い鮮血が舞った
『綱吉くんっ』
『さわ、だっ…!』
『だ、じょうぶ…よか、た…っ』
こんな人殺しのオレでも、雲雀さんを、人を守れた
そう言って笑う彼
どこか、自虐めいた笑み
…そんな笑い、君らしくない
止血の為に自身のスーツを破り、彼の頭に巻き付け胸に強くあてる
その間にも生温い液体が流れ落ちていくのが止められない
『ね、ぇ…雲雀、さん…?』
『…なに?』
泣きそうな僕の頬に彼の冷たい手が添えられる
『むかし…貴方が言った、あのこと…覚えて、ます…か?』
『昔…?』
『記憶をなくせ、ば…オレは逃げられる…て』
『何が、望みなの…?』
『オレっ…少しのあ、いだでもい…から、忘れたい…っ!』
彼は泣いた
僕が流す分も攫って泣いた
胸の出血は止まることを知らない
腕の中で奪われていく体温
――今、僕は君に何が出来る?
『雲雀さ…めい、れいです…』
オレっ…ぜ、たいに帰って、きます…だからっ
消え入りそうな声で命令、と紡ぐ彼
嗚呼…一度だって僕にしたことのない君が命令だなんて、似合わないよ
けれど、今回だけは…
『……Si』
意識を失った彼を抱えて、僕は故郷である並盛に飛んだ
後始末は全て、六道に押し付けた
彼は、長い出血と長年による過労によって死の淵をさ迷うことになった
僕はその間に六道と交渉し、彼の記憶を封じる手だてを作った


一週間後、彼は病室で目を覚ました
『あなた…は?』
『僕は雲雀恭弥。君の名前は沢田綱吉』
『沢田…綱吉』
混乱する彼、まっさらな記憶
これからは僕が君の記憶を埋めていこう
君に似合う、温かな記憶を――
『…綱吉』
一緒に行こう
僕はそっと彼に手を差し伸べた



「アルコバレーノに嗅ぎつけられました…逃げますよ」
「決着…つけさせて」
「その必要はありません」
耳を…目を疑った
ここにいるはずのない彼が、目の前に立っていたから
「どう、して」
「話はあとです」
今は早く逃げますよ
そう言って彼は微笑んだ
何かが吹っ切れたような、底抜けた笑みだった

「…リボーンさん」
「逃げられた、か…」
リボーンはボルサリーノの鍔を下げ、小声で呟いた
「…ダメツナが」