二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

"忘却は罪"と忘れること勿れ

INDEX|6ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 


「じゃあ、そろそろ」
「もう、行っちゃうんですか…?」
彼の瞳が僕を引き留めようと潤む
「彼を見送ったらまた来るよ」
そう言って微笑めば、彼は安心したようだった
「またな、ツナ」
赤ん坊が先に部屋を出る
続いて部屋を出た僕を、赤ん坊は入り口の壁に寄りかかって待っていた
「…本当にツナは覚えていねぇんだな」
「きれいさっぱり、自分の名前すら思い出せなかった」
赤ん坊の眉間に皺が寄る
「お前は何も話してないのか」
アイツがマフィアのボスで殺し殺されの世界に身を置いていた、現実を
言葉の節々に棘
分かっているくせに敢えて言わせようとするのか…
僕は無意識に唇を噛んでいた
「お前がどうしようと、アイツには思い出してもらわなくちゃならねぇ」
アイツが奪ってきた人の命の重さを忘れちゃならねぇんだ
「それでも今のあの子に…」
カタンッ―
「!」
振り向いて扉を開ける
その先には
「…綱吉」
「っ…オ、レ…ぁ…」
顔面蒼白の彼
(…しまった)
迂闊だった
いくら防音でも扉の近くで聞くなら別だ
自分の犯した失態に舌打ちしたくなる
「ひ、ばりさ…」
カタカタと身体を震わせる彼の瞳には、恐怖が映りこんでいた
(このままだと、壊れる)
「…ごめんね、綱吉」
僕は素早く彼に近付き、首筋に手刀を落とす
倒れ込んだ彼を抱き締めて、僕は何度も届かぬ謝罪を囁いた
…終焉が、刻一刻と近付いてくる