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"忘却は罪"と忘れること勿れ

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護りたい、と思った
壊したい、と思った
忘れたい、と願った


  Ⅲ


赤ん坊の来訪から一週間、僕らの日々を変化が襲う
刻一刻と近付く終焉までのリミット
足下がぐらついて、立つことすら難しい状況まで僕らは追い込まれていった
『ツナに全てを話せ』
赤ん坊は有無を言わせぬ口調で僕に残酷な罰を与える
『ツナを引き取るのは…その後だ』
これ以上、足掻いたって何か変わるわけでもなんでもないのなら―
僕は黙って、示された道を歩くしか他にない

「話、いいかな」
「雲雀、さん…」
そのとき、僕は何を彼に話したのか記憶にない
ただ
「そ…です、か…」
俯き涙をこらえ、小刻みに肩を震わしていた彼が印象的だった

病室の扉を閉めると同時、僕は知らず知らずに貯めていた空気を溜め息と共に吐き出した
後悔にも似た感情と見えない重圧から解放された安堵感
一体どちらが今の僕の心の大半を占めているのか、僕には到底分からない
…解りたくもない
しばらく僕は、扉に寄りかかり動けずにいた
ザアァァ―…
激しい、ガラスを叩く雨音
見れば、鉛色の空からは哀しい色をした雨が降っていた
嗚呼、
「…綱吉」
彼が、泣いている