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【DRRR】 emperorⅢ 【パラレル】完!!

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リモコンも放り投げた男は、貫いて絡め取るような目で見つめたまま、一歩、帝人の方へと近づいた。反射的に、一歩後ろに下がってしまう。
一歩、また一歩と後退する足は、泥沼のように重くぬかるんでふらついた。
広い部屋で、追い詰められるように徐々に、徐々に、壁際へと追いやられていく。
その先には、高級なおもちゃ箱をひっくり返したように、ブランド物の子供用ソファやおもちゃ、ぬいぐるみ、本などのものが溢れていた。

「それが自殺であったり、服薬であったり、私のように実際に君の元まで行ってみたり、または別の子供で代用しようとしたりと、中毒症状に対する行動化は様々だが」

ヒクリと、喉の奥から声にならなかった声が浮かび上がる。
自分の声が、あの時の自分や、その他大勢の子供を襲わせる原因になった…?
混乱した帝人には、それが完全なエゴイズムによる責任転嫁だと気付けない。男に全くその気が、というか悪気がないせいだった。

「君の声は天使の声なんかじゃないさ、同じ死の瞬間に迎えに来るものでも、死神だろう。甘くてくせになる誘惑で誘う悪魔かもしれない。魅了されたが最後、魂が抜かれるまで愛して、愛して愛して愛して、最終的にみんな死んでしまう運命なんだよ」

足元に散らばるおもちゃの場所まで来て、帝人は不用意に足をつまずかせバランスを崩す。
そのまま仰向きに倒れれば、背中を強打した衝撃で一瞬肺が詰まったような息苦しさが襲った。
それは、状況とあいまって、声の出ない恐怖と絶望を思い出させるに容易な衝撃だった。

「さあ、もうそろそろいいだろう?君の歌声を聴かせてくれ。そうして私を褒めてはくれないか?私は死ぬこともなくずっとずっと君の声を聴くこの瞬間を待っていたんだ。あの日に触れた体の感触も、君の首を舐めた時の味も、艶やかに漏れた息の音も、芳しい汗の匂いも全部全部覚えているよ」

覆いかぶさって来る影に、悲鳴が、出ない。
起き上がろうとついた手が玩具に滑りまた床に落ちる。
そこに大きな手と荒い息が近づいた。
声、声が。
タスケテ、ダレカタスケテ!
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ………




  (「ありがとう」)(「盗み聞きして悪かった、ありがとう」) 




堅く閉じた瞼を開く。



  (「それ聞くと破壊衝動が抑えられるんだよな」)



母と父と、静雄の声が聞こえる。

自分の声を求めてくれた、人が、いた。
もう、何も出来なかった子供ではない。
この強さは、正臣や、園原さん、セルティさん、新羅さん、幽さん、静雄さん、門田さんたち、あと臨也さん、その他にもいろんな人が教えてくれた。

僕の望む非日常はこれじゃない。

そして、僕がここに来た理由は………。

「………歌を、歌いましょうか…」

帝人はゆっくりと微笑んで、今まさに襲いかかろうとしていた男を見上げて言った。