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並盛亭の主人2

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「…先週の月曜日、朝起きたら突然、手が痺れて動かしにくくなってたんです」
「突然?」
「はい」
(そういえば雲雀さん、なんでこんなに詳しく聞いてくるんだろう?)
疑問に思いながらも、綱吉は素直に口を開く。
「でも俺、前の晩に本を読んでて、うつぶせて腕を枕にした状態のままで寝ちゃったから、それで一時的に痺れているんだろうと思って、普段通り学校へ行く支度をしてたんです。だけど、だんだん症状が酷くなってきて、最後には右手に全く力が入らなくなっちゃって…」
「ふうん。病院は行った?」
「行きました。念のため一日様子を見てたんで、次の日でしたけど…どこの科で診てもらえば良いのか解らなくて、総合病院の受付で暫く悩みましたよ」
「迷惑な患者だね。出かける前に電話して、問い合わせるなりすれば良かったじゃないか」
「そこまで気が回りませんでした…ていうか、翌日は若干左手にも痺れが出てたから、携帯いじるのも少し辛くて」
独りでプチパニックを起こしていた当時を思い出したのか、ため息をついて肩を落とす綱吉に、雲雀は「それで?」と続きを促した。
「整形外科でいろいろ検査してもらった結果、橈骨(とうこつ)神経麻痺って診断されたんです。原因はやっぱり、うつぶせで寝て腕を圧迫したからだろうって」
「うつぶせで寝てたから?そんな単純なことで、神経って麻痺するものなの?」
「する人はするそうです。俺も医者から聞いてびっくりしました」
診察した銀髪の整形外科医が、特徴的な大きな声で『些細なきっかけで発症することもザラだから気をつけろよぉ』と注意してくれたのを、綱吉は思い出す。
「ビタミン剤を処方してもらったおかげか、症状が軽かった左手の痺れはすぐに取れたんですけど、右手は今も使えない状態で、結局先週いっぱいは大学どころか日常生活もままならなくて。…病気でもないのにこんなに長く学校休んでるの、中学の時に足を骨折して以来です」
ちなみに本日は綱吉が橈骨神経麻痺を発症してから十日、曜日は水曜である。
「…日常生活がままならないということは、食生活も然り、ってこと?」
「はい。左手だと箸やフォークもまともに使えないから、コンビニ弁当やカップ麺も食べられなくて、ずっと野菜ジュースとか栄養補助食品のお世話になりっぱなしで……ふぎゃっ」
そこまで言うと、突然綱吉はごつん、と頭を殴られた。
「いだーっ!」
「当たり前だ、痛いように殴ったんだから」
相手は言わずもがな、カウンターテーブル越しの雲雀に、である。
「ひ、雲雀さん、いまグーで殴りましたね!?この年でげんこつされるなんて思わなかった…!」
「咬み殺されなかっただけマシだと思いな」
「話せって言われて素直に話したオチがこれですか!?ていうか俺、客なのに!」
「そのオチで僕の地雷を踏み抜いたんだよ、君」
「いてーっ!!」
ついでにデコピンまでお見舞いした雲雀は、こめかみをひくつかせながら綱吉をにらむ。





作品名:並盛亭の主人2 作家名:新澤やひろ