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Eternal White

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 ちょうど遊んでいたらしいユーリとグレタが、そろってこちらに顔を向けてくる。さすがにグレタも年頃の姫に育ってきたので一緒に寝る、ということはないが、幾つになってもここのふたりは仲がいい。
「どうかした、コンラッド」
「ええ。ちょっとよくない知らせが……フォンビーレフェルト家から届きました」
 途端、ふたりの表情が曇る。
「……ヴォルフラムに、何かあったのか?」
「はい。現在、雪山で遭難中だそうです。もちろん、すでに救援隊が出ているから、安心してください」
「安心って! 出来るはずないだろっ」
 落ち着き払ったコンラッドの物言いは、ひどく冷たく聞こえて、さすがにユーリの言葉も荒くなる。
 それは本人も分かっているのだろう。落ち着いてください、と主人とグレタにソファに座るように促す。
「大丈夫ですよ。あいつは一度、遭難したことがあるから。ちゃんと、どうしたらいいか分かってます」
「でも、本当に大丈夫なの……? ヴォルフラム、怪我してないかな?」
「そうだよ。遭難って一言で言ったって……」
 グレタの不安な声に煽られるように、ユーリの表情も曇る。こういうとき、けっして楽観しないはずの名付親は、それでも大丈夫とふたりに笑顔を向ける。
「万が一、ヴォルフラムになにかあればユーリが気づかないはずないよ。あいつに魔石のペンダント、渡したんでしょう?」
「えっ。なんで知ってんだよ」
「ヴォルフが自慢して行きましたから」
 ふたりっきりのときに渡したものを指摘されれば、さすがに恥ずかしい。だが、生まれつきの王子様は、愛情表現は実に西洋的で誇らしいものときたものだ。
「……ああ、そうですか。うん、ご利益あるかなと思ってさ」
「ありますよ。絶対に」
「コンラッドがそう言うなら、実感あるね。……そうだよな、もし万が一ってことがあれば、おれが分からないはずないよな」
 拳を胸に押し当てれば、ほんの少し前までそこにあった魔石を思い出す。この眞魔国へ来てからずっと傍にあった石。たとえそれが思い込みだとしても、その石の特別な力を信じたい。
 心配顔のグレタの表情も、少しだけ明るくなる。彼女の、父親たちに対する絶対の信頼が揺らぐことはない。
「大丈夫さ、グレタ。天気が回復したら、ビーレフェルトにあいつを見舞いに行こう。いいよな、コンラッド」
作品名:Eternal White 作家名:架白ぐら